静まり返った地下室
幾重もの薔薇の花に生まれるように横たわる私の体温は
以前のような冷たさではなく、
ゆっくりと温かな熱を帯び始めていた 。
深く、長い闇の底から浮上していく感覚 。
まぶたの裏に、眩しいほどの赤い光が差してくる
かすかに指先が動き、ゆっくりと瞳を開く
視界に映ったのは、見慣れた城の天井と
――目の前で呆れたように私を見下ろす一人の青年の顔だった 。
どこか呆れたような、けれど安堵の混じった声
目の前にいたのは、葛葉だった 。
自分の身体を起こそうとして、驚きに目を見開いた
体内にあふれる、これまでとは比べ物にならないほどの
強大な力
手首にあったはずの傷痕は綺麗に消え去り、
視界に映るすべての世界が、鮮明に輝いて見えた 。
葛葉はふっと口元を緩めると、
私の前に膝をつき、優しく手を取った
その手に込められた力強さに、胸が熱くなる 。
❥⋯NEXT












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。