2年前月帆卒業式
今日私は魔法少女育成学校を卒業した
卒業試験にもトップで合格し、明日からは魔法少女として任務をこなしていく
静空は来年卒業のはずだが、私とパートナーなことと、成績優秀なことを踏まえて、半年後の卒業試験に受かったら飛び級で魔法少女になる
それまでは一人で任務をしなければならない
魔法少女は卒業のときにお互いのパートナーの魔法少女名をきめる
今回は私だけの卒業だから静空が決めたけど、半年後に私も静空の名前を決める
確かセレネの意味は、、、
そっからのことはあまり覚えていない
気づいたら部屋のベッドの上で泣いていた
横には静空もノヴァも居て
そのぬくもりが私にとって暖かかった
あれは12さいのころ
夏休み期間中ですごく暑い日で庭で流しそうめんをしたりしていた
父と母は学校の先生
2つ下の妹もいた
ただの平凡な仲が良い家族
でも、夕方 敵連合が隣の家に放火した
火の回りが早くて私の家もすぐに火に包まれてしまった
隣の家の家族は助けに来た魔法少女に救助された
私達はその人に助けを求めるために 一番運動神経が良かった私に走って呼ばせにいった
でも母ももう自分たちは助からないと思ってせめて娘だけは助けようと私を逃した
妹は足に怪我していてとても走れる状態ではななかった
私はその時まだ幼く、そんなこと知らずに助けを呼びに行った
全身に火傷を負いながらその人に助けてといったけどその人は助けなかった
隣の家の家族を助けたって報道陣の質問に答えていた
必死に助けを求めたけどその声は届くことがなく喉も渇ききって乾いた声しか出なかった
こうなったら自分で助けようと戻ったけどもう手遅れで
そこにあったのは
3人で抱き合って人生の最後を迎えた自分の家族の姿だった
私はその時悟った
母は私だけ助けてくれたんだと
同時に助けなかった魔法少女と残らなかった自分に対して怒りが湧いてきて
その場で崩れ落ちた
その後、私は全身に火傷して、病院で入院しているときにひっそりと家族のお葬式が行われた
ここに入るまでは親戚の家を転々としてきた
どうせ魔法少女は自分たちの評判だけしか考えない
いつからかそう思うようになった
だからこそ、こんな思いする子が一人も居なくなるようにこの学校に入った
ほとんどの生徒は目立ちたいとかいう理由で入ってきてるけど
静空が手を広げて月帆を抱きしめる
その日、私は2回も涙を流した
あの日以来一度も泣いたことがなかったのに
静空の温もりは母みたいな安心感があった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。