第7話

第六話
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2026/02/15 03:00 更新

― 開封 ―

拠点の空気が、いつもより硬い。

「全員、いるな」

**k.m(木村柾哉)**の声は落ち着いている。

ソファ、壁際、キッチン前。
自然と円になる配置。

「西くんから聞いた」

**t.s(田島将吾)**が短く言う。

「逆探知、ってやつ?」

**s.y(佐野雄大)**の声は軽いが、目は笑っていない。

「ほぼ確定」

端末前に座る **y.s(夜宮紫乃)**が答える。

「拠点は割れてない。
 でも、“ハッカーがいる”ことは向こうに知られた可能性が高い」

「紫乃、すご」

**m.j(松田迅)**が素直に言う。

「褒めてない」

「ごめん」

小さな笑いが起きる。
だが、すぐに消える。

「依頼、まだ開いてないんだよね?」

x.f(許豊凡)。

「開く」

k.mが言う。

その一言で、空気が締まる。

紫乃の指が動く。

画面に表示されるのは、簡潔な文面。

依頼内容:対象の排除
報酬:前回の二倍
条件:即時対応

「対象は?」

g.t(後藤威尊)。

紫乃がスクロールする。

表示されたのは――

一枚の写真。

沈黙。

「……これ」

**t.h(高塚大夢)**が、わずかに息を止める。

写真に写っているのは、
数年前に解体されたはずの“研究施設”。

「偶然、ではないな」

**n.h(西洸人)**が低く言う。

「この施設、知ってる人いる?」

**f.k(藤牧京介)**が静かに尋ねる。

一瞬。

誰も、答えない。

「依頼主は?」

o.t(尾崎匠海)。

「匿名。経路は前回と同じ」

紫乃の声は安定している。

だが。

「……匂う」

t.sが吐き捨てる。

「完全に」

「挑発だね」

x.f。

「俺らの過去、探ってるってこと?」

m.j。

「探ってる、じゃない」

紫乃が言う。

「知ってる可能性がある」

静寂。

その中心で、柾哉が口を開く。

「この依頼、受けるかどうかだ」

全員の視線が集まる。

「罠の可能性、高いよ?」

s.y。

「だから断る?」

n.hが返す。

「断った瞬間、向こうは“当たり”だと確信する」

「受けても同じじゃない?」

「違う」

洸人の声は揺れない。

「受ければ、主導権は半分こっちに戻る」

「……半分」

紫乃が小さく繰り返す。

柾哉は、全員を見渡す。

「強制はしない」

その言葉に、空気がわずかに動く。

「でも」

一拍。

「俺は受ける」

即答だった。

「理由は?」

t.h。

「向こうが“過去”を使うなら、
 俺たちは“今”で返す」

静かな決意。

数秒の沈黙の後。

「賛成」

最初に言ったのは n.h。

「俺も」

t.s。

「まあ、逃げるの嫌いだし」

g.t。

「面白くなってきた」

x.fが笑う。

「迅?」

洸人が見る。

「……やる」

迷いはない。

「京介」

「サポートは任せて」

「雄大」

「俺、元気担当継続で?」

「頼む」

「理人」

「爆破は最終手段な」

「当然」

最後に、視線が紫乃へ。

「紫乃」

柾哉の声は、少しだけ柔らかい。

「行ける?」

彼女は、モニターを閉じた。

「……ゲームなら、負けない」

その瞬間。

このチームは、正式に“依頼主”と対峙することを選んだ。

外は、雨が降り始めていた。

第七話は6時頃に更新します。サボっててすいませんでした。

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