今日は、
前回放置して帰ってきた、少年の所へいく。
通された部屋の中。
目の前には、
おじ様と言う言葉が似合いそうな人間と、
少年が座っていた
少年に声をかける。
こちらを睨みつけている様だが、
これぐらいで私は揺るがない。
握手を求めてきた。
彼が名前をつけたのは確定だな。
本当の様だ。
名前は個性を使う上ではあまり必要がない。
周りに友達が多ければもっと必要がない。
他の事を聞いてみよう。
ちょっとちょっと、と、義蘭が
言い争いそうになったところを助けてくれた。
今回だけは感謝かも。
義蘭が別に用意していた部屋に通される。
そこには、玩具などいろいろなものがあった。
お絵描き用のクレヨンや、小さな滑り台。
他にも、小さなボールなど、
どんな子供でも何かは絶対に楽しめる
空間になっていた。
さっきの雰囲気とは違って、優しい口調に、
空気が一気に柔らかくなる。
私のガスマスクも相まって、
この空間が異質な物へと変わっていった。
私の手にはお人形さんやボールなどが入った、
おもちゃボックスが、握られている。
こうやって、好きなものを選んでもらうだけで、相手のことを知ることができるのだ。
ちょっとだけ顔色が良くなっている様な気がする。
だが、ぬいぐるみを、
渡そうとすると手を引っ込めてしまう。
私は他の人形を手に取って、
顔を伸ばしたり縮めたりして、
少し乱暴に扱ってみた。
それからと言うもの、
おもちゃは手で触って崩壊してしまう。
最初の何回は申し訳なさそうにしていたが、
私の何も気にせずに一緒に遊ぶ姿を見て、
壊しても次を持ってくる、
執着のしない遊び方を覚えた。
怪獣とヒーローが戦う物語なのか、
ガンッ とか ドスッ とか ヒューン
とかの効果音を口で行っている姿が愛らしい。
私も怪獣役をしながら一緒に遊んでいる。
崩壊しない様に遊ぶ事を覚えたりと、
成長した時期でさえも記録として情報になるので、
この子を一時的に回復させてあげられるぐらいには、
情報が集まった。
次はすごろくで遊ぶ様だ。
ファミリー用のすごろくで、
マス目には、
「隣の人とジャンケンしたら…」
などのことが書いている。
握手をするなどバリエーションは豊富。
私は、赤い一つの点と目が合う。
くそぅなんて言って、マス目の指示を見てみる。
やはり、子供は人と触れ合うことで成長するのだろう。
寂しそうでなんだか見てられない。
一か八か、試してみるのもありだとは思う。
崩壊の個性も、
直せるものだと思うから。
もし治せそうにないならば、
腕から切断して、新しく腕を生やせばいい。
慌てて、触れてしまった片手を離した。
どうやら、崩壊の個性は、
私の回復の個性よりもスピードが遅いらしい。
またまた有益な情報。
私は手を広げて、あぐらをかいている。
そこには温もりが。
彼が、この中にすっぽりとおさまり、
泣きながら抱きついてきた。
やっと彼は人間になった様な気がした。
そして私は彼を抱きしめて手で触れる。
みるみるうちに、彼の乾燥した肌や、
爪で引っ掻いた古傷などが治っていく。
涙ぐみながら抱きついて顔をキラキラとさせる彼は、
これまでの人生で一番綺麗な笑顔を
していたんだと思う。
次回 look me…please?
ハート❤️とお気に入り⭐️お願いします…(切実)












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。