第4話

背中2 「黄と紫」
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2024/02/26 10:26 更新
休日の昼下がり。散歩がてらに2人で歩いて高校の時からの友人、宮舘の店にゆっくり向かう。少し前の春だなと思わせるような暖かな気候から一変し今日は風が冷たくかなり寒い。体脂肪率が減った体は油断して薄着で出てきてしまったことを酷く後悔させる。寒さに耐え切れず、昼間だけど隣のふっかの手を握ってふっかの来ている上着のポケットに入れた。
深澤 辰哉
深澤 辰哉
何、寒いの?なんでそんな薄着なんだよ。起きた時から寒いって言ってたのに
岩本 照
岩本 照
日に当たればちょっとは暖かく感じるかなって思って…
深澤 辰哉
深澤 辰哉
そんなこと無かったね。早く舘さんとこ行こうか。温かいスープでもココアでもあるでしょ。
岩本 照
岩本 照
いいね。ココア飲みたい
特に手を繋いだことに何も言われなくて驚くけどそれ程機嫌がいい事に嬉しくなる。
岩本 照
岩本 照
ご機嫌だね
深澤 辰哉
深澤 辰哉
久し振りに照とデートだから
岩本 照
岩本 照
可愛いこと言うね
深澤 辰哉
深澤 辰哉
だろ〜?
岩本 照
岩本 照
うわちょっとウザイ
深澤 辰哉
深澤 辰哉
なんでだよ!
そうこう喋っている内に店先に綺麗な花が飾られた落ち着いた雰囲気の店が見えてくる。店先には見知った男が箒で掃除をしていた。
深澤 辰哉
深澤 辰哉
康二〜!!
岩本 照
岩本 照
うるさっ声でけぇよ
向井 康二
向井 康二
ん?おぉふっかさん!!!照にぃ!!いらっしゃい!久しぶりやなぁ来てくれたん?!嬉しいわ!
まだ店まで10mはあるのにふっかの声で俺たちのことに気がついた瞬間、小型犬のように走って来る姿に笑みがこぼれる。俺が高三の時の後輩である向井康二は、将来の夢を叶える為に宮舘の店で修行という形で働いている。いずれは服屋とカフェを融合させた自分の店を持ちたいという。俺とふっかはそれに本気で応援している。
向井 康二
向井 康二
舘もしょっぴーも2人が最近来てくれへんかったから寂しがってたで?
深澤 辰哉
深澤 辰哉
翔太は何となくわかるけど舘さんも?なんか嬉しいね
岩本 照
岩本 照
そうだな。どう?店の調子は
向井 康二
向井 康二
繁盛してるよぉ。毎日大行列!って訳では無いけどそれなりに毎日お客さん来てくれとるよ
深澤 辰哉
深澤 辰哉
舘さんの飯美味いからなぁ
3人で歩いて店まで向かい、ステンドグラスの小さな窓が着いた扉を開けると、からんと可愛らしいベルの音が鳴る。中は相変わらずお洒落で落ち着いた雰囲気が漂って、厨房からはいい香りがしてくる。
渡辺 翔太
渡辺 翔太
いらっしゃいませ…って!待ってたぞ!
深澤 辰哉
深澤 辰哉
なべ!来たぞぉ!
宮舘 涼太
宮舘 涼太
いらっしゃい。照もふっかも元気そうでよかった
岩本 照
岩本 照
久しぶり舘さん。仕事忙しくて中々来れなかったんだよ。
宮舘 涼太
宮舘 涼太
そっか。いい事だよ。見た感じ痩せてないみたいだしちゃんと食べてるんだね。今日はみんな来てるよ
深澤 辰哉
深澤 辰哉
みんな?
渡辺 翔太
渡辺 翔太
まぁ奥いけよ。メニューは?コースでいい?
宮舘 涼太
宮舘 涼太
季節のコースね。メニュー表見てないのに急かしちゃダメだよ翔太。
渡辺 翔太
渡辺 翔太
早く会いたいってうるせぇんだよ。
岩本 照
岩本 照
コースでいいよ。あ、飲み物だけ頼んでいい?俺ココアで。ふっかは?
深澤 辰哉
深澤 辰哉
俺、カフェラテ〜。
宮舘 涼太
宮舘 涼太
季節のコースとココアとラテね。今日はもう貸切にしちゃおうか。ゆっくりしてって
深澤 辰哉
深澤 辰哉
え?いいの?!やったね照
岩本 照
岩本 照
ほんとにいいの?
渡辺 翔太
渡辺 翔太
涼太がいいって言ってんだからいいんだよ。ほら、案内してやるから早く来いよ
宮舘 涼太
宮舘 涼太
翔太の言う通りだよ。俺らも皆と話したいんだ。
向井 康二
向井 康二
はよ行こ!!
宮舘 涼太
宮舘 涼太
あ、康二はココアとラテ用意してね
向井 康二
向井 康二
舘〜!しょっぴーだけに甘すぎんか?俺も話したい〜!
宮舘 涼太
宮舘 涼太
お仕事はちゃんとして
向井 康二
向井 康二
はぁい…
宮舘 涼太
宮舘 涼太
今日は目黒も来るみたいだよ
向井 康二
向井 康二
ほんま?!よっしゃ頑張るで!照にぃもふっかさんもゆっくりしていきぃや!
岩本 照
岩本 照
騒がしいな。この店
深澤 辰哉
深澤 辰哉
まぁいいじゃない。みんなって誰だろ〜
厨房に戻る康二と舘さんを見届けて、翔太の後について店の奥まで進んでいく。大人数用に用意されたテーブルは相変わらず花が1輪1輪飾ってある。徐々にこれまた聞き慣れた声が聞こえてきて、あいつらの正体がわかった。
佐久間 大介
佐久間 大介
よ!照!ふっか!
ラウール
ラウール
ふっかさん!岩本くん!こっち座ってよ!!
少し伸びた襟足をひとつに括った佐久間と、相変わらずの優しい微笑みを浮かべる阿部と元気に俺らを呼ぶラウールが席の奥に座っていた。
深澤 辰哉
深澤 辰哉
ラウ!!
佐久間 大介
佐久間 大介
おい!俺ら!!
深澤 辰哉
深澤 辰哉
お前となべはこの前買い物行ったから別に久しぶりでもないだろ
佐久間 大介
佐久間 大介
あそっか
岩本 照
岩本 照
阿部たちも来てるなんて聞いてなかったよ
阿部 亮平
阿部 亮平
俺らも店来てから言われたんだよ。舘さんのサプライズかな
ラウール
ラウール
ふっかさんお肌綺麗になってる!!昨日はお楽しみだった?
深澤 辰哉
深澤 辰哉
やだっ!ラウがそんなこと言わないで!!肌褒められんのはすっげぇ嬉しいけど!!
岩本 照
岩本 照
阿部と佐久間はよくきてんの?
渡辺 翔太
渡辺 翔太
ラウールも、ほぼ週一で来るぞ
岩本 照
岩本 照
すっげぇ頻繁じゃねぇか
佐久間 大介
佐久間 大介
1週間に1回はこの店のパスタが食いたくなんだよ!
阿部 亮平
阿部 亮平
ゆり組補給大事
ラウール
ラウール
僕そんな来てない!!
渡辺 翔太
渡辺 翔太
来てるわ!お前なんてほぼ毎日みてぇなもんだよ
ラウール
ラウール
だって、毎日来てたらみんなに会えると思って…
佐久間 大介
佐久間 大介
かわいいー!!!
深澤 辰哉
深澤 辰哉
やっぱうちの子可愛いわ
宮舘 涼太
宮舘 涼太
はいはいみんな声でかいよ。
向井 康二
向井 康二
お待たせしました。ココアとラテです。あとみんなコースやから一斉に持ってきたったで!1品目はこちら!
宮舘 涼太
宮舘 涼太
旬の野菜のバーニャカウダ。特製ソース。宮舘を添えて。
ラウール
ラウール
宮舘添える必要ある?
宮舘 涼太
宮舘 涼太
あるよ。俺の愛も添えてって意味だからね
ラウール
ラウール
なるほどね
深澤 辰哉
深澤 辰哉
納得しちゃったよ
宮舘 涼太
宮舘 涼太
じゃ、翔太、康二戻るよ。まだまだ用意しなきゃだしね。
渡辺 翔太
渡辺 翔太
えぇ
向井 康二
向井 康二
はーい
厨房に戻る3人もあとから来るだろうと踏んで、取り敢えず5人で席につく。各々喋ると会話が弾んでかなりうるさい。元々口数が多い奴らばかりだし、佐久間は声のボリュームが上がるしで、2人きりの静かな食事とは程遠い。まぁでも楽しいし、信頼出来る人ばかりでふっかも楽しそうなので全然許せる。濃厚で甘いココアを頂いて、みんなでポリポリバーニャカウダを齧っているとちりんとまた扉が開く音がした。
目黒 蓮
目黒 蓮
こんにちは〜
向井 康二
向井 康二
めめ!!いらっしゃい!
康二のバカでかい声と足音がこっちまで聞こえてくる。最後は目黒がお出ましのようだ。
宮舘 涼太
宮舘 涼太
いらっしゃい。みんないるから奥の席にどうぞ。
康二、案内してあげて
向井 康二
向井 康二
ええの!ありがと!!めめ!こっちやで!
目黒 蓮
目黒 蓮
今日も可愛いね康二
渡辺 翔太
渡辺 翔太
すぐ口説いてんじゃねー!早く行け!
向井 康二
向井 康二
しょっぴー口悪い!!可愛い?ありがと!
目黒 蓮
目黒 蓮
みんなって誰?
向井 康二
向井 康二
知ってる人やから安心してや!
目黒 蓮
目黒 蓮
ふーん
康二に連れられて目黒が俺らの席にやってくる。
目黒 蓮
目黒 蓮
ほんとにみんないる!!ふっかさん、岩本くん久し振り!
深澤 辰哉
深澤 辰哉
よぉめめぇ!来ると思ってたよ!
岩本 照
岩本 照
相変わらず康二口説いてんのかよ。こっちこいよ!
目黒 蓮
目黒 蓮
いきます!!てかもう1品目来てるじゃないですか!!食い逃したぁ
向井 康二
向井 康二
めめの分もちゃんとあるからすぐ持ってくるで!!待っててや!
目黒 蓮
目黒 蓮
ほんと?ありがと康二
この店のほぼ常連全員が集まった事で楽しい食事会が始まる。舘さんのコース料理に舌鼓を打ちながら、俺らの仕事の話、ラウールの大学の話、目黒のモデル誌や芸能界の話をしていく。話し声が途切れることなんで全くなくて、こいつらとなら何時間でも何日でも一緒にいたら静かになる事はないんだろうなぁと思った。
最後のデザートが運ばれてきたところで仕事を終えた舘さんと翔太と康二が戻ってきて本当の全員集合。長いこと話していて、ここに来たのは12時30分位だったはずなのにいつの間にか16時になっていた。
佐久間 大介
佐久間 大介
時経つのはやっ!もう4時なんだけど!
岩本 照
岩本 照
そろそろ帰るか。そういえば買い物残ってた
深澤 辰哉
深澤 辰哉
完全に忘れてた!
ラウール
ラウール
僕も今日は6時からバイト入ってたんだ!
阿部 亮平
阿部 亮平
これ以上長居しても片付けらんないよね。お開きにしようか
向井 康二
向井 康二
えぇみんな帰ってしまうん?寂しいわぁ。
目黒 蓮
目黒 蓮
康二、この後俺ん家くる?
向井 康二
向井 康二
え!ええの?!行きたい行きたい!!ありがとぉめめ!!
岩本 照
岩本 照
舘さん、お会計で
宮舘 涼太
宮舘 涼太
はーい。
深澤 辰哉
深澤 辰哉
ここは男気…?
佐久間 大介
佐久間 大介
男気か…?
ラウール
ラウール
いや、ここは阿部ちゃんが…
阿部 亮平
阿部 亮平
なんで俺?!
ラウール
ラウール
きゃははっ!冗談だよ!ごめんね?
岩本 照
岩本 照
今日は割り勘でいいだろ
阿部 亮平
阿部 亮平
そうだね。
佐久間 大介
佐久間 大介
我らの広辞苑阿部ちゃん!!1人何円出せばいいんだい!!
阿部 亮平
阿部 亮平
〇かやまきんにくんみたいだね。広辞苑は関係ないだろ。えぇっとねー…
阿部が言ってくれた額を払って、店を後にした。
突然2人になったことでさっき迄あんなに騒がしかったのに音が少なくて少し寂しく感じる。ふっかもそうだったのか、行きとおなじように俺の手を握ってきた。
深澤 辰哉
深澤 辰哉
楽しかったね
岩本 照
岩本 照
みんな元気でよかった。飯も美味かったし
深澤 辰哉
深澤 辰哉
楽しかったけど…やっと2人だね
岩本 照
岩本 照
早く2人になりたかった?
深澤 辰哉
深澤 辰哉
早くって言ったらみんなに悪い気がする。でも、2人きりになるのもご飯食べてる時から楽しみのひとつだったよ
岩本 照
岩本 照
ははっ可愛い。
行きつけのスーパーに向けて晩飯は軽くでいっかと話しながら歩く。昼よりも気温が下がり、冷たい風が強く頬をかすめていく。
岩本 照
岩本 照
はやく帰ろ。寒い!
深澤 辰哉
深澤 辰哉
ふふっ、はいはい。
手を強く握り返して少し早歩きすると笑って引っ張られてくれるふっかが愛おしかった。素敵な休日もあと残り1日。明日はふっかを独り占めしてやろうと心に決めた。

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