テサンside
イハンを待って第一講義室の前でスマホをいじってると、あなたの大きな声が有線のイヤホンを突き破って耳に入ってくる。
俺がオッパと呼ばれて驚いたからかあなたが満足そうに微笑む。
そして後ろには驚いた様子のアホい先輩こと、キムイハン。
あなたとは対照的に、口をぽかんと開けたまま動かなくなっている。
動揺を隠し話を始めて帰ってきた、斜め上のイハンの回答に拍子抜けして怒るにも怒れなくなり、二人して笑ってしまう。
あなたと別れ、歩き始める。
イハンの言葉に思わず本音が出る。
だって、俺抜きで楽しんでずるいじゃん。
からかってきたと思ったらあなたへの恋心がバレていた。
だから嫌だ。幼馴染ってのは。
一から十まで知ってるだけじゃなくてそこからの10から100も見抜いてしまうのだから。
あなたはかわいい。
課題が多いで有名な法学部だから、いつもレポートがおわんないとか文句言ってるとことか。
ほっそいのにご飯が大好きで、インスタで良さそうな店を見つけると真っ先に誘ったきてくれるとことか。
持ち前の記憶力で俺のことをからかってくるとこさえも。ムカつくけどかわいいんだ。
こんなことばっか毎日考えてるから、今書いてる曲もあなたの好みに似てくる。
あなた自分で編んだリボンのカバーのヘッドフォンには、どこか懐かしい雰囲気のラインが特徴の、爽やかででも暖かい、そんな曲が流れている。
そのことを知ってからそういう曲しか書けなくなってきた。
多分、俺はあなたに依存してるんだ。
いつものカフェのいつものカウンター席。
休憩時間のたった一時間だけだけど、隣で座ってするおしゃべりの時間。
仕事に戻ろうと立ち上がったあなたが突然そう言った。
バイトだけどこの小さなカフェでたまに新しいお菓子も作っているあなた。
新作何にしようとは言っていたけどもうできたんだ。
そう思いながらステッカーでデコった黒いヘッドホンをつけ、また音楽の世界に入り込む。
あと一ピース残った歌詞を考え続けた。
もう日も沈んだ7時過ぎ。
あなたが手にクッキーの乗ったお皿を持ってくる。
期待を込めた目をして渡されたクッキーは四葉のクローバーの形をしていた。
ハート型の葉っぱを一つ割って食べてみると、程よい甘さが口の中で広がる。
それこそコーヒーが進む味だった。
心の中で思ってたことが思わず口に出てしまう。
俺は四葉より三つ葉のクローバーの方が好きだ。
好きな人にも、好きになって欲しい。
恥ずかしくて少し下を俯いていたテサンが流れに任せていってしまう。
あっさりと帰ってくる返答。
だいぶ変なこと言ったはずなのに。
そしてまた揶揄うように言うから。
抑えられなくなる。
皿を下げようとするあなたの手を引っ張り、触れるだけのキスを落とす。
もう仲のいい先輩と後輩の関係ではいられないだろう。
こんなことをしてしまっては。
あなたが受け入れてくれるのをいいことにテサンは静かにあなたを抱きしめる。
最後だから、
最後だからもうどう思われてもいいと思った。
時が流れる。
静かに店内に響く、道路の車の音。
月明かりと街灯に照らされる二人。
先に口を開いたのはあなただった。
テサンがだんだんと強くなっていた力を緩め、すっと離れる。
あなたが静かにキスを落としてそう言った。
今、この時、さっきまで鳴り響いていた外の音なんて1ミリも聞こえなかった。
相変わらず揶揄ってくるあなたの細い体をもう一度抱きしめる。
嬉しかったし、自分のものになったあなたを離したくなかった。
そう言ってあなたがまたテサンの頭にキスを落とした。
店の戸締りも済ませ、二人で帰る帰り道。
あなたがそういう。
そう言ってテサンが軽くあなたの頭を撫でる。
いくらあなたがからかい上手で、テサンの愛が重くても、やっぱりテサンは年上のオッパで。
少し長めのセンターでわかられた前髪から除く笑顔は優しかった。
end
需要あったらその後も書きたいなって思ってるのでコメントで教えてください😢😢
リクエストも待ってます💕















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。