第15話

>>14
62
2019/03/03 15:07
屯所に戻ると、境内から木刀らしきものの音が聞こえてきた。
九十九京助
九十九京助
...やっているな。
白夜和丸
白夜和丸
ちょっくら様子みてみっか!
2人は境内の裏へと向かう。
私もついて行くことにした。
そこにはー
島津裕道
島津裕道
うわぁぁっ!
廣瀬一太
廣瀬一太
はーい、12勝目ー
島津裕道
島津裕道
くっそぉっ...
廣瀬一太
廣瀬一太
どーする?やめにする?
島津裕道
島津裕道
もう一本!
そうして再び試合は始まった。
諸星明日香
諸星明日香
何これ...
その試合は恐ろしく激しかった。
こんなすごい試合見たことない...!
でも、しばらくしてしまははじき飛ばされて肘をつく。
廣瀬一太
廣瀬一太
残念っ。でも落ち込む必要はないよ。
廣瀬さんは優しい兄のように微笑んで、しまの頭をクシャッと撫でる。
廣瀬一太
廣瀬一太
確かにお前は噂通り、天才剣士って呼ばれるほどの実力がある。だから自信もて。なっ
ドキッ

なに、さっきの笑顔。。

廣瀬さんが一瞬見せた微笑みは、まるで天使のようだった。
爽やかさのなかに、可愛さがある。

ううう、ず、ずるい...
廣瀬一太
廣瀬一太
...あれ、和丸。帰ってきてたの?
白夜和丸
白夜和丸
...あ、おぅ。
九十九京助
九十九京助
二人とも、また腕をあげたのではないか?
島津裕道
島津裕道
まだまだ廣瀬さんには足元にも及ばねぇけどな
白夜和丸
白夜和丸
いや〜凄すぎて思わず見入っちまったぜ!
諸星明日香
諸星明日香
二人とも、怪我とかしてない?
島津裕道
島津裕道
平気だ。先に汚れを落としてくる。
諸星明日香
諸星明日香
う、うん
白夜和丸
白夜和丸
...おらよっ
白夜さんは廣瀬さんに向かって団子の入った包みを渡した。
白夜和丸
白夜和丸
おめぇの分もちゃーんと買ってきてやったよ
廣瀬一太
廣瀬一太
へぇーっ、和丸にしては気が利くね。




そしてその夜。

島原でのお座敷を終えて屯所へ帰ると、廣瀬さんが階段で座っていた。
廣瀬一太
廣瀬一太
...おかえり。
諸星明日香
諸星明日香
あっ、はい。あの...
廣瀬一太
廣瀬一太
行くよ。
諸星明日香
諸星明日香
へ?
廣瀬一太
廣瀬一太
...散歩。
その言葉に私の心は舞い上がった。
なんと言っても、この夜中の廣瀬さんとの散歩が、密かな楽しみでもあったから。
しばらく歩いて鴨川沿いを歩く。
夜は、昼間と違って人通りも少なく、とても静かだ。

夜の京は討ち入りや不逞浪士が彷徨いていて物騒らしいけど、廣瀬さんが隣で歩いてくれているととても安心できる。
そうだ。
廣瀬さんに、おさなさんのこと聞いてみよっかな。
諸星明日香
諸星明日香
あのっ、廣瀬さん。
廣瀬一太
廣瀬一太
ん?
諸星明日香
諸星明日香
廣瀬さん、甘味処のおさなさんって女性のことご存知ですか?
私が問いかけると、廣瀬さんはピクリと眉を動かした。そして少し低めの声でこう告げた。
廣瀬一太
廣瀬一太
ー知らないな。

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