屯所に戻ると、境内から木刀らしきものの音が聞こえてきた。
2人は境内の裏へと向かう。
私もついて行くことにした。
そこにはー
そうして再び試合は始まった。
その試合は恐ろしく激しかった。
こんなすごい試合見たことない...!
でも、しばらくしてしまははじき飛ばされて肘をつく。
廣瀬さんは優しい兄のように微笑んで、しまの頭をクシャッと撫でる。
ドキッ
なに、さっきの笑顔。。
廣瀬さんが一瞬見せた微笑みは、まるで天使のようだった。
爽やかさのなかに、可愛さがある。
ううう、ず、ずるい...
白夜さんは廣瀬さんに向かって団子の入った包みを渡した。
そしてその夜。
島原でのお座敷を終えて屯所へ帰ると、廣瀬さんが階段で座っていた。
その言葉に私の心は舞い上がった。
なんと言っても、この夜中の廣瀬さんとの散歩が、密かな楽しみでもあったから。
しばらく歩いて鴨川沿いを歩く。
夜は、昼間と違って人通りも少なく、とても静かだ。
夜の京は討ち入りや不逞浪士が彷徨いていて物騒らしいけど、廣瀬さんが隣で歩いてくれているととても安心できる。
そうだ。
廣瀬さんに、おさなさんのこと聞いてみよっかな。
私が問いかけると、廣瀬さんはピクリと眉を動かした。そして少し低めの声でこう告げた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。