第2話

31
2022/10/11 07:00
若葉 なずな
若葉 なずな
か、叶くん…
叶くんの手にはしっかりと口紅が握られ、彼の口には新作の口紅が塗られていた。

私は驚きの余り口をぱくぱくとしていると彼は口紅を元の店棚に戻し何事も無かったように帰って行った。
若葉 なずな
若葉 なずな
えっと…
今のはなんだったんだ?
私は無事新作のメイクを買いデパートを後にした。
買い物中や帰路はもちろんあの場にいた叶くんの事ばかりを考えた。
何度考えても謎しか浮かばない。冷淡と呼ばれている彼が何故、口紅などを持っていたのか。
_
次の朝。
余程の衝撃だった。頭の中はまだ叶くんのことを考えていた。
西川 朱里
西川 朱里
なずな?何かあったの?
若葉 なずな
若葉 なずな
えっ?
西川 朱里
西川 朱里
何かぼーっとしてるよ
いつもと違う
若葉 なずな
若葉 なずな
あぁー
どうしよう。相談すべきか。
でも相談した所で朱里が答えを知ってるとも限らない。それに彼にとって昨日のことはバレたく無かったのではないか?
西川 朱里
西川 朱里
な・ず・なっ!
若葉 なずな
若葉 なずな
うぅん、何でもないよ
若葉 なずな
若葉 なずな
昨日遅くまで起きてたから気が抜けてただけ
大丈夫だよ!
西川 朱里
西川 朱里
そ、そう?
昼時、生徒の大半は食堂を使う。私達もその中の1人だ。
私はたまたま叶くんを見つけた。
若葉 なずな
若葉 なずな
叶くんも私に気付いた。お互いに目と目が合ったが、叶くんは直ぐに目を逸らした。

私にたまたま目があったわけでは無い。確実に叶くんは私に気付き故意に目を逸らしたのだ。

それはきっと。
昨日のことはやっぱり叶くんにとって見られては不味いものだったのだ。
その日の帰路も雨が降っていた。
西川 朱里
西川 朱里
なずなってさ
若葉 なずな
若葉 なずな
うん
西川 朱里
西川 朱里
雨女だよね
若葉 なずな
若葉 なずな
え!?
若葉 なずな
若葉 なずな
そ、そうなのかな…?
西川 朱里
西川 朱里
なずなにとって何か特別なことが起こる時
絶対に何か雨な気がする
若葉 なずな
若葉 なずな
そ、そんなぁ
西川 朱里
西川 朱里
体育祭や遠足、私と2人で遊ぶ時は絶対に雨だもん
若葉 なずな
若葉 なずな
た、確かに!?
西川 朱里
西川 朱里
認めたね?
なずなここ1週間ぐらい雨が続いてるけど、何かあったでしょ!
若葉 なずな
若葉 なずな
えぇ!
なんも無いよ!
西川 朱里
西川 朱里
本当にぃ?
若葉 なずな
若葉 なずな
ほ、本当だって!
西川 朱里
西川 朱里
まぁ、信じてやるか
若葉 なずな
若葉 なずな
う、うん!
そんな会話をし朱里とは別れた。
確かに今日も雨。傘を差して帰路につく。その途中昨日のデパートに入り、昨日のコスメの一角に来た。
するとそこには叶くんの姿があった。
若葉 なずな
若葉 なずな
あっ
千夏 叶
千夏 叶
若葉 なずな
若葉 なずな
えっとぉ
私が言葉を探しているうちに叶くんは私の隣に来ると一言。
千夏 叶
千夏 叶
昨日の事は誰にも言うな
若葉 なずな
若葉 なずな
ど、どうして
若葉 なずな
若葉 なずな
どうして、隠そうとするの…
千夏 叶
千夏 叶
千夏 叶
千夏 叶
そ、それは…
若葉 なずな
若葉 なずな
別に…男の子がメイクしたっていいと思うの
千夏 叶
千夏 叶
若葉 なずな
若葉 なずな
教えてくれないかな?
叶くんのこと
next_

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