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第1話

Prologue
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2026/02/28 09:00 更新
 
紀元前は数千年も前に遡る頃。
日本の文化の発展していない地域や蝦夷地、中国をはじめとした田舎には、とある風習があった。
 
それは " 神に生贄を捧げる " というもの。
 
おにいちゃんっ!!まってよぉっ!!
いやだ!!おいていかないで!!!
 
村に蔓延る災厄を神の怒りの仕業だと思い込み…
贄として、神の住まうとされる山へと村の子供を一人で登らせるという、人身御供の儀だった。
 
おにいちゃんがいなかったら、どうすればいいの!?ボクわからないよ!!
………申し訳無いね
 
しかし、奇妙なことに、蝦夷の辺境地。
それは、一人の少年が贄に捧げられたという記録を最後にして、贄を捧げる風習が途絶えた。
まるで最初からなかったかのように。
 
もし、もし此処で俺が往かなければ、お前が逝く事になるのだろう?
其れは…俺自身が、許せない
 
その少年は極めて珍しい存在だったとされる。
 
お前は此の村で、平凡に生きるだけで良い。…其れが、俺の願いなのだから
だから──…最後ぐらいは、俺に格好を付けさせておくれ
 
妖である父と人である母を持ち、半妖として生きていた、齢6つの少年。
最後まで泣き言を言わず、弟の身を案じ、自ら山に足を踏み入れたとされていた。
 
 
──その少年は今、何をしているのだろうか。
5000年も前の、嘘か真か分からないような話。
もし実在していたとしたら、既にその命は落としているのだろうか?
 
きっと、その少年が実在していたなら、彼は…
 
 
〝 秋の夜の 月にむかひて 問ふ心 〟
〝 うらみ給へど なお語らまほし 〟
 
 
人の理をも超えた「ナニカ」なのだろう。
 
( 俺ならば、そう思う── )
 

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