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第2話

居場所
502
2026/01/01 17:11 更新





   仕事を辞めてから、時間だけがやけにゆっくり
   流れていた。応募しても返事が来ない。
   面接に行っても、手応えはない。





(なまえ)
あなた
   …私、何してるんだろう。   



   そんな時に届いた一通のLINE。



瀬名
   ✉️  今ちょっと人手足りんくてさ。   
短期間でいいから、 サポート入ってくれへん?



   送ってきたのは、昔からの友だち。
   そして今は、なにわ男子のマネージャーをしてる人だった。
   最初は冗談かと思った。
   でも「裏方の雑務だけ」「期間限定」「正式スタッフじゃない」
   と聞いて、少しだけ止まっていた時間が動く気がした。



   初めて現場に入った日。
   楽屋前の廊下は、想像以上に静かだった。
   テレビで見るきらきらした世界とは違って、
   空気は張りつめていて、みんな忙しそうで。
   私は完全に場違いだった。



瀬名
   とりあえず今日は、資料運びと飲み物の   
準備お願い。



(なまえ)
あなた
   わかった。   



   マネージャーに言われて、指示通りに動く。
   “ここにいていい理由”を必死に探しながら。
   その時 ───



???
   ……あ、ごめんなさい   



   前を見ていなかった私の肩に、誰かがぶつかった。



???
   大丈夫?   



   聞こえた声は、落ち着いていて、優しかった。
   顔を上げた瞬間、息が止まる。
   ─── 道枝駿佑。
   なにわ男子のセンター。
   テレビの中の人。
   まさか、こんな距離で見ることになるなんて
   思ってなかった。



(なまえ)
あなた
   す、すみません……   



道枝
道枝
   いや、こっちこそ。   



   そう言って、少しだけ笑う。
   近くで見ると、想像よりずっと静かで、柔らかい雰囲気だった。



道枝
道枝
   サポートの人?   



(なまえ)
あなた
   はい、短期間だけ……   



道枝
道枝
   そっか、ありがとう。   



   それだけの会話。
   なのに、何故か胸がざわついた。



   それから数日。
   私は裏方として、出来ることを渋々とこなしていた。
   基本、メンバーとは関わらない。
   それが暗黙のルール。
   でも ───



道枝
道枝
   おはよう   



道枝
道枝
   今日も来てるんや   



道枝
道枝
   無理してへん?   



   声をかけてくるのは、いつも道枝くんだった。
   周りに人がいる時は短く。
   誰もいないタイミングを見計らうみたいに。
   ある日、廊下で二人きりになった時。



道枝
道枝
   ……あのさ、   



   呼び止められて振り返ると
   道枝くんは少しだけ言いづらそうに視線を落とした。



道枝
道枝
   ここ、慣れた?   



(なまえ)
あなた
   まだちょっと……   



   正直に答えると、彼は小さく頷く。



道枝
道枝
   無理せんでな。   
……こういう場所、合わん人もおるから



   その言葉が、胸にじんわり染みた。



(なまえ)
あなた
   ありがとうございます。   



   そう言うと、彼は少し照れたように笑って距離を詰める。



道枝
道枝
   でも……俺があんまり話しかけたら、   
良くないか。



   そう言いながらも、離れようとはしない。



道枝
道枝
   他の人に見られたら、ちょっと困るし   



   冗談みたいな言い方。
   でも、その視線は真剣だった。
   ─── その瞬間、思った。
   この人は、優しいだけじゃない。
   仕事も、居場所も、まだ不安定な私に向けられる視線が、
少しだけ特別に見えてしまった。
   まだ何も始まっていない。
   でも確かに、ここから何かが変わりそうな予感がしていた。


























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