突然店長とともに、
フードを深く被った、大きめの男が現れた。
まぁ、俺の身長が低いからどんな奴でも大きく見えてまうねんけどな。
俺のことを自分のホストだと主張しているが、
俺とこの人は全く面識がない。
というか、この店に来たことない人だと思う。
ゾムと呼ばれたその男は、
盛大な舌打ちを漏らし、殺気を部屋中に撒き散らしていた。
俺にはよくわからないような会話が
リレーのように行われていた。
意味が何もわからない。
でも、◯✕組って確か…?
ゾム?さんはくまこう改め、熊川さんの耳に近づき、
殺気をそこら中に振りまきながら何かを囁いた。
そんなこんなで俺自身もよくわからないまま、
VIPルームまでご案内した。
先程の出来事からがあっという間すぎて、
頭の処理が追いつけずに居た。
俺はおずおずと頭を下げた。
名前はゾムさんで合っているらしい。
先程の雰囲気とは打って変わって、
優しい雰囲気を纏っていて、
とてもええ人やった。
ゾムさんはフードの影からもわかるほど、
暖かくて、優しい目を向けて、笑っていた。
俺の頭を撫でるその手は、
とても硬くて、大きくて、
でも、やっぱり優しさの溢れる、
温かい手だった。
職業の関係上、
多少の客との接触はよくあることで、
それを喜ぶお客さんはいたが、
俺はあまり好きではなかった。
なのに、
なのに、ゾムさんならええか、と
思っている自分が居て、
それがとても、
不思議やった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。