これはある2人の昔話。
江戸時代、街の人々が良く集まる古い食堂で働く看板娘は俺の恋人であった。
まぁそれは働く娘。
隣町までせっせと野菜を運んではまた戻り、戻ってくればまたせっせと米を運び。
彼女の頑張りを近くで見ていた俺はつい、止めてしまった。
加「..あなた、お前働き過ぎではないか...?」
○「シゲアキさん..私は大丈夫です!この野菜を運べば休みますので食堂で待っていて頂けますか?」
加「あぁ、分かった。怪我の無いように。」
そして俺は手を離した。
小走りで隣町まで行ってしまうあなたを見ていると後ろから食堂の女将、幸さんに声をかけられた。
幸「シゲさん、中でお茶でもどうですか?」
加「あぁ...ありがとうございます。お言葉に甘えて」
女将さんの幸さんも愛想が良く料理も美味しい、人気の食堂と言われるのも納得だった。
あなたが帰って来るまで30分ぐらいだろうか、突然ガラガラと扉が開いた。
○「ただ今戻りましたー!」
幸「あら、あなたおかえりなさい。今日はもう大丈夫だから先にあがって?シゲさんも来てる事だし」
○「..いいんですか?」
幸「いいのよ、あとは私に任せて!」
○「ありがとうございます..!」
モジモジと顔を赤らめてこちらに向かってくるあなた。
大変可愛らしい仕草をするものだ。
加「どうした?」
○「あの..久々に川辺でも行きませんか...?」
これを言うのにそんなモジモジとしていたのか。
"川辺には今綺麗な花が咲いているから"とあなたは言った。
加「じゃあ、行くとするか。行こうあなた」
○「はい!」
そして2人で川辺まで歩いた。
すると川の流れる近くに咲く花を見るあなた。
加「あの花が気になるか?」
○「綺麗だなぁ...って、」
加「ちょっとここで待ってて」
○「え?」
彼女の為なら俺は何だってする。
この青い花を彼女に持たせたい、そんな一心で花に手を伸ばした際に俺は川へ落ちてしまった。
○「あ...!シゲアキさん!!」
俺は泳ぐのがそんなに得意では無い。
でもこの花だけは、どうか彼女に渡したかった俺は彼女の方へ向かって花を投げた。
加「どうか...どうか俺の事は忘れないで!」
そして、俺は川に流され命を絶った。
彼女の持っている花には、雫が1滴垂れたような気がした。
"離れたくない"と、俺の気持ちを表すかのように。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。