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第41話

354
2022/08/15 23:27
大我side




お化け屋敷を出てしばらくアトラクションを楽しんでると、水沢が突然焦った表情を浮かべ辺りを見回す。










あなた
どうしよう...
北斗
あなた、何かあった?

北斗もすぐに水沢の様子に気がついたらしい。
あなた
ネックレスがないの



泣きそうな声で絞り出すようにしてそう言った。




北斗
それって、
大我
何か探し物なら俺も手伝うよ
あなた
大丈夫、自分で探す
大我
でも、
あなた
いいから、本当に。大丈夫だから。


水沢は俺に聞こえないように北斗に耳打ちすると、俺たちから背を向けて離れていった。



北斗
あなた仕事で急に帰らなきゃ行けなくなったって、電車で先に帰るって。
走って行ったよ。
慎太郎
え?帰っちゃったの?
咲良
そっか…
あ、もういい時間じゃん。


ポツ…ポツ…
ジェシー
え、冷た。雨降ってきたよ
優吾
俺らも帰るかー。今なら駅まで行けばあなた拾えそうじゃない?




皆出口の方へと向かうのを気が進まないまま後をついて行った。
誰かあなたに駅で待つように連絡しといて。
北斗
俺しとくよ。




車に乗り込む頃には雨が本降りに変わった。




水沢が座っていた席に目を向けると傘が置いてあった。


ほくとー、連絡きたー?
北斗
もう駅だから皆で帰ってだって
そっか、じゃあ俺らは俺らで帰るかー。

車が動き出す。



本当にこのまま帰っていいのか…


外は雨なのに、

傘はここにあるのに。




大我
ごめん停めて。
えっ?
大我
停めてって




車が停まると皆が何事だって顔で俺を見る



大我
ごめん、先に帰って。
雨だし、あいつ心配だから…



慎太郎
早く行きなよ
優吾
ちゃんと傘持ってけよ~
ジェシー
風邪引くなよ~
あなたと会えたら連絡して
北斗
…頼んだ



北斗…分かってるよ、
本当はお前だって心配してるって
水沢の所に行きたいって





でも、譲れない。









_俺は水沢の傘を握りしめた



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