第16話

『 隣 』
52
2026/01/02 08:36 更新
UNDEADの単独ライブ

その幕が降りた後も、会話を揺らす『アンコール』の声は病むことがなかった

バックステージの薄暗い通路で、あなたの下の名前は震える手でノートを抱きしめていた

薫に渡されたパスを握りしめ、吸い寄せられるようにここまで来てしまった



ステージへ続くスロープ

そこにはパフォーマンスを終え、汗に濡れていた零が立っていた

荒い呼吸、乱れた髪

観客の声援を一身に浴び、最高潮の熱気の中にいるはずの彼は

ふと、舞台袖の暗闇に佇むあなたの下の名前の姿を見つけた




朔間 零
朔間 零
⋯⋯あなたの下の名前か?




あなたの下の名前はたまらず駆け寄り、彼の衣装の裾を掴んだ

もう、離れるなんて二度と言えない

彼がどれほど自分を必要としてくれていたか

薫の言葉と、今の彼の表情がすべてを物語っていた




朔間 零
朔間 零
⋯⋯もう何も書かなくてよい。お主がここにいる
朔間 零
朔間 零
⋯それだけで、我輩の歌は歓声するのじゃ





零は力強く、壊れ物を扱うような優しさで抱きしめた




朔間 零
朔間 零
あなたの下の名前よ。
我輩は魔王かもしれんが、お主がいない夜明けは、ただの暗闇でしかない
朔間 零
朔間 零
⋯プロデューサーとしてではなく、我輩の魂の隣に、一生いてはくれぬか

プリ小説オーディオドラマ