深夜の東京都世田谷区。新宿や渋谷とは違い、ビルが少ない世田谷区の夜は何処かひっそりとしていた。
そんな街のとある学校。その屋上に、それは突如として現れた。
それは楕円形の形をしており、黒檀の渦を巻いていた。
その渦から人影が現れた。それは少年だった。
おそらく10代後半、せいぜい高校生だと見受けられる。
その少年は壺を抱えていた。実に禍々しい模様が刻まれた壺である。
少年は壺を開けた。
そして、壺の中からそれは出てきた。
それを一言で表すのは難しいだろう。
荒れ狂う黒炎にも見えれば、うねる黒き濁流にも見え、果ては咆哮を上げる黒い竜にも見えた。
それは凄まじい速さで今なお、姿を変えている。
共通しているのは色が黒、それだけだった。
それは姿を変えながら校舎に巻き付いていった。
そして、徐々に姿を消していく。
それを見ながら、少年は狂気に満ちた、壮絶な笑みを浮かべていた…













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。