第11話

太中
35
2025/08/13 04:27 更新
酸化していくこの世界で、僕は今日も生きのびてしまう。










僕の名前は太宰治。ポートマフィアに所属してる。因みに16歳。
僕は右目に包帯を巻いている。
中原中也
オイ、太宰!!
太宰治
ん〜?どこからか声が聞こえるなぁ〜www
中原中也
ふっざけんじゃネェぞ!!
太宰治
ああ、何だ中也か。小さすぎて見えなかったよww
中原中也
しね。
太宰治
そりゃどうも。ww
中原中也
チッ俺のこと小セェ小セェッて、俺らほとんど変わんねェじゃねぇか。目ェ腐ってんのか?それとも




中原中也
その右目の包帯で距離感バグってんのかァ?ww
太宰治
………別に。あっても無くても変わらないよ。この包帯は。
中原中也
……そうかよ。(地雷だったか。)
太宰治
…………。
中原中也
はぁ、ほら行くぞ。任務だ。
太宰治
…………うん。
そう。この顔の包帯は、あっても無くても変わらない。
だって、僕の右目が映すのは、灰色で、光のない、モノクロ映画みたいな世界なんだもの。物の輪郭もわからないくらいぼやけてて、灰色か、黒色のドット柄見たいな景色しか、映さないの。先代首領に川から拾われる前から、ずっと。だから、変わらない。この右目をおおう包帯があっても、なくても、結局右目は世界の何も映さない。でも、視界の半分が灰色であまりにもぼやけていたら、過ごしにくいから。眩しい色と、光のない世界で半々に見てると、目がチカチカする。だから包帯を巻いている。
このことを知っている人は、誰1人としていない。森さんでさえも、知らない。





















〜六年後〜
太宰治
ふんふふ〜ん
太宰治
心中は〜一人じゃできない〜でも、二人ならできる〜だから心中は凄い〜
中原中也
うげッ
太宰治
げ、中也……
中原中也
チッ糞太宰……
太宰治
なんで君が真っ昼間にこんな場所にいるのさ!
中原中也
あ"ァ?商談だよ糞。手前ェこそなンでこんなとこにイんだよ。
太宰治
んふふ。少し、良い川を探していてね?中也どっか知らなぁい?あ、脳まで筋肉でできてる脳筋バカな蛞蝓君には難しかったかwwww
中原中也
んだとこのッ💢
太宰治
きゃー!お子ちゃまが怒ったーwwww
中原中也
待ちやがれッ💢💢
太宰治
あははwwwwwは、
目がチカチカする。頭が痛い。この歳になっても、私の右目は相変わらず虚空を映すだけ。だけど、今は包帯を巻いていないから、右目と左目の彩度の差で、唐突に目が眩む事が多々ある。でも真逆、このタイミングでそれが起こるとは。
太宰治
うぁ………ぅ……。
私は右目を手でおおい、うずくまってしまう。
中原中也
!?ど、どうした太宰ッ!
中也はすぐに私の異常を察して駆け寄ってきた。そして私の背中に手をおき、私の顔を覗き込んでいる。両目をギュッとつむり、右目を手でおおっている私を見て、中也は『ちっと失礼するぞ』と言った後、私を抱き上げ、(お姫様抱っこ)近くの公園のベンチに座らせてくれた。その後、中也は『飲み物買ってくる。ここにいとけよ。』とどこかへ消えた。
太宰治
う"ぅ………う"……
太宰治
ちゅ………ぁ……、
今日は天気が非常に良い。太陽がキラキラと輝いて眩しい。このベンチは木陰になっているが、さっきの道端は日が直接当たっていた。おそらく、屋外で、しかも日の当たる場所だったために、余計に目が眩んだのだろう。
太宰治
う""………ち……あ、
頭が割れるように痛い。左目に映る視界が白黒に点滅する。右目が血が吹き出そうなくらいにジワジワと痛い。
中原中也
おい、大丈夫か?
太宰治
う""ぁ………ちゅあ、いだ""………ッい、
今は視界が頼りにならないので、聴覚で状況を把握するしかない。きっと、中也が戻ってきた。
中原中也
ん、一寸手ェどけろ。
太宰治
う""うッッ………!!
中原中也
すまねェが、一寸我慢してくれ。すぐ終わる。
そう言って、中也は私の右目に何かしていた。何か、巻いている?
中原中也
うし、できた。一寸ずつで良いから、目ェならせ。
太宰治
う""……ん"うぅ"………
それから数分後、頭痛と目の眩みが落ち着いた。そして、安心感からか、気づかなかったのか、いつの間にか流れていた涙も少しおさまり、鼻をすすっていた。それを誤魔化すかのように、中也がさっき買ってきてくれた苺ミルクを飲んでいた。
太宰治
グスッあ"りあと……
中原中也
おう。……太宰、何があったんだ?
太宰治
……グスッ……………ズビッ
中原中也
言いたくねェなら良いんだがよ、言ってくれねぇとわかんないんだぞ?
太宰治
………ズビッ
中原中也
………はぁ。まぁ良い。その目、探偵社の奴らにはものもらいが出来たとでも言っとけ。
私の右目には、ポートマフィア時代の時のように包帯が巻かれてあった。
中原中也
じゃあな。
そう言って、私の隣に座っていた中也は立ち上がり、公園から出て行こうと歩き始めた。だが、中也の足は、一歩踏み出したところで止まった。私が、独り言のように話し始めたからだ。
太宰治
私、ね、小さい頃からね、ずっと、グスッ……
私は俯きながら、小さな声で、話し続けた。右目だけ、視力が異常に低い事、右目だけ、色を映さない事、今は包帯をしていないから、こういう風に頭痛と目が眩むことが多々ある事、今回は日の当たる屋外であったせいで、いつもよりひどかった事。包み隠さず全て話した。途中から、中也は私の隣に又座り、俯きながら話す私の背中をさすってくれた。
中原中也
……そうか。
私が話し終わった後、中也は短くそう言った。
太宰治
グスッ……。
中原中也
なぁ、そんなことになるんだったらその包帯、取らないほうが良かったんじゃないか?
太宰治
………。探偵社は色んな人と話す。それはもう、本当に色々。誘拐にあった子供、強姦にあった女性、殺されかけた男性、正気を失った人々……。上げたらキリがない。その中で、私たちは被害者を安心させ、正しい情報を得る必要がある。包帯を目に巻いた男に、安心できる?今でさえも身体中に包帯を巻いていて怪しまれることの方が多いのに。
中原中也
だがなぁ、安心させるためと言ったって、太宰がさっきみたいにうずくまっちまったら元も子もねェだろ。
太宰治
そうだけど……。これは、私の覚悟でもあるから。もう、この酸化していく世界から、目を背けないための。人を救うために、光と向き合うための。
中原中也
………ま、どうするかは手前ェ次第だ。俺には関係ねェ。
中也は立ち上がり、公園の出入口に吸い込まれるようにして歩いて行った。その道中、中也はポツリ呟いたのが、地獄耳の太宰はしっかりと聞き取った。
中原中也
覚悟を決めるのは結構だが、光に目が眩むようならサングラスでもかけとけよ。
太宰治














それから、私はそのまま探偵社に向かった。突然、右目に包帯を巻き、苺ミルク片手に出社したために、探偵社のみんなは驚いていたが、中也に言われた通り、「ものもらいが出来た」と言えば納得してくれた。ただ一人、眼鏡をかけた乱歩さんが、突然『成程。良かったね太宰。』と言ったことで、探偵社が少し混乱した。





それから一週間程、右目に包帯をつけたまま過ごし、私はその包帯をつけている間に、サングラスを買った。四角いフレームで、目を完全におおい、真っ黒なレンズ。そのサングラスをかければ、他人から見れば目は完全に見えなくなる。包帯を外した後は、私は外にいる間、そのサングラスをかけた。探偵社のみんなには、イメチェンだと言って。そこまでしたのは、今考えてみれば屋外の方が目が眩むことが多かったから。だが、中也と会ったあの日以外は、必ず日陰で起こっていたし、数秒間、目がチカチカするだけだった。なぜあの日、日向であそこまでなったのかはわからないが、日向でああなってしまう可能性が、少なからずあるのだとわかった。あの時、一緒にいる相手が中也で良かった。もし、社のみんなだったのなら。もし、敵の目の前だったのなら。社のみんなは根掘り葉掘り聞いてきて、探偵社内で共有して、気を遣わせる。それだけじゃない。これは私の弱点になり得ること。だから、知る人が多ければ多いほど敵にバレやすくなる。もし敵の目の前であれを晒した時もそうだ。こっちは直で隙を突かれるし弱点を知られてしまう。その点、中也なら安心だ。ああ見えて中也は、中也が忠誠を誓っている首領にも隠し事が多い。私が誰にも知られたくないのを察した時は、首領に命令されても何も言わなかった。例えば、私の他の弱点を知った時や、体調を崩している時。首領に報告せず、誤魔化してくれていた。中也は口が硬い。そして、知ったからには十分すぎるサポートをしてくれる。














〜数日後〜
中原中也
ん、太宰。
太宰治
あ、中也。
中原中也
……はっ、結局サングラスをかけることにしたのかよ?胡散臭さが増したなぁ?
太宰治
五月蝿いなぁ。仕様がないでしょう?包帯を巻くよりかはマシ。
中原中也
ははw確かにそうだな。
太宰治
………ムスー
中原中也
ふっ、wそう拗ねんな。ほら、ちっと付き合え。
そう言って、中也は自身がかぶっていた帽子を、私に被せ、手を繋いできた。中也は日向側を歩き、私には日陰側を歩かせてくれた。中也も日陰に入れたかったけれど、日陰は狭くて、人一人分しか幅がなかった。仕様がないのでそのまま歩いていく。
太宰治
そういえば、あの後商談、間に合ったの?
中原中也
ア?ああ、見事に遅刻したなァ。
太宰治
ぇ""、それ大丈夫なの?
中原中也
たかが二十分遅れたくらいでカッカするような奴だ。さっさと壊滅させて、首領には攻撃を仕掛けられたから壊滅したと伝えた。
太宰治
え、大丈夫なの?それ。
それってつまり、首領に嘘の報告をしたってことじゃ、、、
中原中也
大丈夫だろ。もともと"裏切ル可能性有リ"だったからな。今回の商談でそれを判断しろって言われてたから、なんら違和感はねぇよ。
太宰治
そっ……か。あ、でも二十分の遅刻は十分怒るに値すると思うけど。しかも商談でしょ?余計に遅れちゃダメでしょ……
中原中也
あ"ァ?ご主人サマが急に苦しみ出したら狗は助けるもンだろ。
太宰治
そうだけど……
中原中也
んじゃあ、俺は悪くねぇな。
太宰治
なんでそうなるのさw
中原中也
ははw













酸化していくこの世界で、私は今日も生き延びてしまう。でも、君がいてくれるのなら、それも悪くはないかな。

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