第101話

捌拾玖
833
2025/11/18 22:39 更新
レイン・エイムズ
メリアドールさん、あなたは……


真剣な顔つきで白い帷の中から出てきた女医は、眉間の険しいまま言葉を選んだ。


メリアドール・エイミー
何とも言えません
メリアドール・エイミー
身体の方は最善の処置を尽くしました
メリアドール・エイミー
しかし、彼女には今、非常に複雑な魔法が絡み付いている
レイン・エイムズ
……意識は……
メリアドール・エイミー
戻る見込みは未だありません
メリアドール・エイミー
先ほど呟いた言葉も、きっと無意識に近いものでしょう……
レイン・エイムズ
どうすりゃいいんですか……!
レイン・エイムズ
オレは……オレは……
メリアドール・エイミー
…………
メリアドール・エイミー
今彼女に必要な事は、戻りたい・生きたいという強い意志です
メリアドール・エイミー
それがなければ彼女は魔法を突破できず、どこにも存在できないあやふやなものになってしまう


バタバタという音ともに、知の神杖が長い黒髪を乱して駆け付けた。


ソフィナ・ブリビア
あなたさんは……!?



力なく首を振り俯いたレインに、ソフィナは言葉を絶った。




あなた
蜜璃ちゃん……!
甘露寺蜜璃
あなたの鬼滅世界での下の名前ちゃん、会いたかったわ……!!
あなた
ごめんね……ごめんね……戻るのが遅くなって……!!
甘露寺蜜璃
いいのよ!!
甘露寺蜜璃
私、信じてたわ……きっと、最後には来てくれるって!
甘露寺蜜璃
もう、泣かないで!
甘露寺蜜璃
鬼はいないわ
甘露寺蜜璃
私たち、勝ったのよ!
あなた
うん……そう、そうだよね
あなた
でも蜜璃ちゃんが、死んでしまった……
甘露寺蜜璃
……あなたの鬼滅世界での下の名前ちゃん、私幸せよ
甘露寺蜜璃
伊黒さんがね、生まれ変わったら私をお嫁さんにしてくれるんですって
甘露寺蜜璃
いいのかしら?こんなに幸せになって……
あなた
……あのね、私遠い世界で一つ分かったのです
あなた
私、間違ってなかった!
甘露寺蜜璃
なぁに?
あなた
蜜璃ちゃんは普通の女の子
あなた
優しくて、明るくて、力持ちな、私の最高の友達


顔を上げると、蜜璃ちゃんは涙を流しながら幸福げに笑っていた。


甘露寺蜜璃
あなたの鬼滅世界での下の名前ちゃん
甘露寺蜜璃
ありがとう!
甘露寺蜜璃
さ、行くわよ
あなた
……どこに?
甘露寺蜜璃
こっち!
 

蜜璃ちゃんが手を引いた先で、藤の匂いが一層強く感じる。



先を進んでいた伊黒さんが、突然膝をついた。






産屋敷耀哉
よく戻ってきてくれたね、あなたの鬼滅世界での下の名前
産屋敷耀哉
ありがとう




あまね様と寄り添った、その立ち姿は。


あなた
おや、かた、さま
メリアドール・エイミー
一つだけ方法があります
メリアドール・エイミー
彼女の意識に入って、彼女を連れ戻す
メリアドール・エイミー
しかし連れ戻さなければ、入った人は二度と戻れなくなる
レイン・エイムズ
やります
ソフィナ・ブリビア
レイン?!
メリアドール・エイミー
リスクを承知ですか
レイン・エイムズ
オレはできねぇことは言いません
レイン・エイムズ
……あなたがいねぇ世界には、もう戻れないんです
ソフィナ・ブリビア
……
メリアドール・エイミー
…………
メリアドール・エイミー
分かりました
メリアドール・エイミー
準備を始めましょう
あなた
お館様!!
あなた
申し訳ございません!!
あなた
私、私……遅れてしまって……
あなた
死にきれなかった、たくさん死なせてしまった……!
産屋敷耀哉
いいんだよ、あなたの鬼滅世界での下の名前
産屋敷耀哉
あなたの鬼滅世界での下の名前が生きたことに価値があるんだ
産屋敷耀哉
ありがとう、戻ってきてくれて
あなた
……!
産屋敷耀哉
私たちは行かなければいけない
産屋敷耀哉
あなたの鬼滅世界での下の名前は、遠い世界……幸せな世界で
あなた
お願いです
あなた
私も連れて行ってください!!
あなた
もう生きたって、意味は……


お館様は、すっと口を指で閉ざす。


産屋敷耀哉
前を向いて生きる事は生者の務め
産屋敷耀哉
私たちが繋いだ明日を、あなたの鬼滅世界での下の名前に生きて欲しい
あなた
でも……!
産屋敷耀哉
それに
産屋敷耀哉
あなたの鬼滅世界での下の名前を誰よりも大切に想ってくれる人が、まだいるようだよ












レイン・エイムズ
あなたッ!!
あなた
っ……!

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