九尾の狐と言えば、何を思い浮かべるだろう。
おおかた、美女になれるとか変身できるとかそんなイメージがあると思う。
実際のところ、私には変身できるくらいしか能がない。
そう、私は九尾の狐なのである。
そして、百鬼学園の一年…いや、もう進級したから2年か…
弍年参組はどんな妖怪がいるのだろうか。
新学期の始まりに胸を踊らせながら、私は新しいクラスの戸を開いた。
いきなり開いた扉にいくつかの妖怪はこちらを見る。
だが、相手が先生では無いと知ったからなのかすぐにお喋りを再開させた。
私は自分の席に行き、周りを見渡す。
前と同じクラスだった人もちらほら見える。けど、もちろん知らない人もいる。
あ、あの妖怪猫耳生えてる。可愛い。
自分の机でカバンを整理していると、見知った顔が友達と思われる妖怪と話を終え、こちらに近づいてきた。
彼は富士冬也くん。去年同じクラスで席が隣ということもあり、仲良くさせてもらっていた。
そう、私は重度の人見知り。そのせいで去年友達を作るのに苦労した覚えがある。
ただ、冬也くんはわざわざ聞き取りやすいように耳を傾けてくれたり、目線を合わせてくれたり、何かと親切にしてもらったためすぐに打ち解けることが出来た。
「うふふ」と冬也くんは口元に手を当てて綺麗に笑った。
冬也くんとそんな談笑をしていると、先程まで冬也くんと話していた妖怪たちが近づいてきた。
いきなり現れた知らない妖怪たちに若干怯えながら私も首を横に振る。
とりあえず自己紹介しなくては、と私は口を開く。
しかし、口から出るのは相手に聞こえないのではという小さな声ばかり。
本当に申し訳なくなってきて、思わず冬也くんに助けを求める視線を送ってしまった。
その時だった。
1つ目小僧の…入道さん?が自己紹介をしてくれたのだ。
今の声、聞こえたんだ…!
驚いたのは私だけでは無いようで、横を見ると冬也くんも目を見開いていた。
入道さんは頬をかきながら、照れたように笑った。
続いて、教室に入った時に私が「猫耳可愛い」と言った、秋雨さんが自己紹介をしてくれた。
猫又だから猫耳なのか…
猫耳がぴこぴこ動いてとても可愛い…
急にそんなことを言うから私はせっかくセットしてきた髪が乱れてしまうくらい全力で首を振ってしまった。
やばい、ここにいたら身が持たない…
そう思った私は何を考えたのか、入道さんの後ろに隠れてしまった。
私の言葉が聞こえたのか、はたまた偶然か。
入道さんは庇うように私の前に立ってくれた。
その背中が何故か頼もしく思えた。
2025.04.08. 修正済












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!