スマホを開くのが、
怖い。
でも開かないと、
もっと怖い。
叶へのコメントを見れば
“同棲?”
“匂わせ?”
“プロ意識”
なんて。
画面に映る写真。
夜の窓。
カーテン越しの影。
玄関前。
鍵を開ける背中。
これは、私だ。
でも顔は映ってない。
なのに。
“彼女確定”
“一般人なのに図々しい”
勝手に物語が作られていく。
息が浅くなる。
——なんで。
なんで、ここまで?
叶は何も言わない。
説明も。
通話履歴を開く。
叶。
指が止まる。
かけたら、
何か変わる?
それともまた、
「大丈夫」
って言われる?
……嫌だ。
でも
勢いで
通話ボタンを押す。
数秒たった後。
声が聞こえた瞬間、
溜まってたものが溢れた。
声が震える。
怒ってる。
でもそれ以上に、
怖い。
通話の向こうで、
叶が息を呑む気配がした。
また、それ。
涙が出る。
悔しい。
その一言で、
何かが切れた。
笑ってしまう。
乾いた声で。
違うって分かってる。
でも、
分からないから怖い。
弱い声。
答えは来ない。
沈黙だけ。
私は、
ゆっくり息を吸う。
自分でも驚くくらい、
冷静な声だった。
通話の向こうが、
完全に静まる。
切る前に、
小さく付け足す。
通話を切る。
部屋が静かになる。
スマホを置いて、
顔を覆う。
守られてる。
でも。
選ばせてもらえない守りは、
孤独だ。
私は、
一緒に背負いたかった
だけなのに。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。