第119話

線になる
199
2026/02/03 13:28 更新
 不破side


 通知が鳴ったのは、
 深夜でも早朝でもない、
 一番気が抜ける時間だった。

 スマホを見て、
 短く息を吐く。
『 分かった
  表じゃ話せない
  一度、会える? 』
 来た。
 あえて
 即レスはしなかった。

 少しだけ考えて、
 場所を送る。

 人目があって、
 でも騒がしくないところ。

 昼過ぎの、
 駅から少し外れたカフェ。
 窓際の席。

 アイスコーヒーを混ぜながら、
 店内を一度だけ見回した。

 他のお客さんの席は
 盗み聞きされる距離じゃない。

 でも、完全に密室でもない。



 ちょうどいい。

 遅れて、
 目的の人物が入ってくる。

 帽子を被って、
 ラフな格好。

 視線が合って、
 軽く会釈する。
 久しぶり 
fw
 あぁ、 
fw
 さしぶり 







fw
 まゆゆ 
myzm
 どーも 
 黛灰。

 通称まゆゆ。

 座るなり、
 彼はメニューを見もしない。
myzm
 結論から言うね 
myzm
 この写真、
 偶然の盗撮じゃない 
fw
 やっぱり? 
myzm
 うん。 
myzm
 距離といい、角度といい
 偶々撮るのはほぼ不可能に近い。 
 まゆゆは、
 スマホを机に伏せて置く。

 画面は見せない。
myzm
 同じ高さ。
 同じ角度。
 別日なのに、ほぼ同一 
 つまり同一人物。 
myzm
 あと、投稿元 
myzm
 最初に出たアカウント、 
 一見ランダムだけど 
myzm
 過去に、
 業界関係の愚痴だけ
 妙に正確な投稿がある 
fw
 身内? 
myzm
 まぁ、少なくとも、
 内側の情報に触れられる人だね 
 それと
 コップの水を
 一口飲んでから言った。
myzm
 写真が出るタイミング 
myzm
 疑惑が出たときとか 
myzm
 叶さんが倒れた後とか 
myzm
 タイミングが良すぎるよね 
fw
 仕上げてきな? 
 俺が言うと、
 まゆゆは小さく頷いた。
myzm
 燃やす前提で、
 素材を寝かせてた 
fw
 最初から、
 あなたが一般人って 
 分かってて…か
fw
 名前、
 出せる? 
myzm
 今は無理 
myzm
 証拠が足りない。
 出したら、逆にこっちが危ない 
fw
 ……だよな 
 沈黙。

 カップの氷が、
 小さく鳴る。
myzm
 でも 
myzm
 線は、一本だよ 
myzm
 偶然じゃない。
 事故でもない。 
 意図的
 その一言で、
 全部が揃った。

 椅子にもたれて息を吐く。
fw
 叶とあなた、
 これ知ったらキツいな 
 まゆゆは、
 少しだけ表情を曇らせる。
myzm
 ……だから 
myzm
 今は、
 本人たちには言わない方がいい 
fw
 同意 
myzm
 動くなら、
 俺たちだ 
fw
 裏で? 
myzm
 うん
 静かにね 
 まゆゆは、
 カップを持ち上げて言った。
myzm
 じゃあ、
 もう少し潜る 
fw
 まじありがとう!!! 
myzm
 あ、あとさ 
fw
 ん? 
myzm
 この件、
 相手は引く気ない 
 俺は苦笑した。
fw
 知ってるで 
 知ってるから、
 ここにいる。

 まゆゆが店を出ていく。

 俺は、
 窓の外を見ながら呟いた。
fw
 ……さて 
 これで、
 ただの炎上じゃなくなった。

 誰かが、
 踏み込んだ。

 なら。

 止める側も、
 踏み込むしかない。

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