不破side
通知が鳴ったのは、
深夜でも早朝でもない、
一番気が抜ける時間だった。
スマホを見て、
短く息を吐く。
『 分かった
表じゃ話せない
一度、会える? 』
来た。
あえて
即レスはしなかった。
少しだけ考えて、
場所を送る。
人目があって、
でも騒がしくないところ。
昼過ぎの、
駅から少し外れたカフェ。
窓際の席。
アイスコーヒーを混ぜながら、
店内を一度だけ見回した。
他のお客さんの席は
盗み聞きされる距離じゃない。
でも、完全に密室でもない。
ちょうどいい。
遅れて、
目的の人物が入ってくる。
帽子を被って、
ラフな格好。
視線が合って、
軽く会釈する。
黛灰。
通称まゆゆ。
座るなり、
彼はメニューを見もしない。
まゆゆは、
スマホを机に伏せて置く。
画面は見せない。
つまり同一人物。
それと
コップの水を
一口飲んでから言った。
俺が言うと、
まゆゆは小さく頷いた。
沈黙。
カップの氷が、
小さく鳴る。
その一言で、
全部が揃った。
椅子にもたれて息を吐く。
まゆゆは、
少しだけ表情を曇らせる。
まゆゆは、
カップを持ち上げて言った。
俺は苦笑した。
知ってるから、
ここにいる。
まゆゆが店を出ていく。
俺は、
窓の外を見ながら呟いた。
これで、
ただの炎上じゃなくなった。
誰かが、
踏み込んだ。
なら。
止める側も、
踏み込むしかない。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。