第29話

‧✧̣̥̇‧ - 𝚍𝚒𝚊𝚖𝚘𝚗𝚍
1,413
2026/01/15 04:58 更新






⠀ ⠀ ⠀
 わ〜〜っ!!あそこのキャンディ 
 綺麗じゃないですか?! 




 指さす向こうは、ジュエルコーナー




 宝石をイメージして作られた
 キャンディたちが並んでいる。




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 ほら、そのダイヤモンドとか! 






 精巧なガラスの瓶の中にまた、
 透き通った透明のキャンディが入っている。





 さながら其れはダイヤモンドのようで、


 窓からさす光が反射し
 美しい虹霓こうげいがテーブルに映っていた






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 …みんなには、あなたの自分の呼び方(一人称)の瞳が 
 こう見えているの? 



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 ん…?そりゃもちろん、そうですよ 






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 すっごく綺麗で、
 簡単に見とれちゃうくらい! 








 出る前、全身鏡を見ている時にも軽く触れたが



 あなたの名前、カタカナ推奨さんは前に、見るものに美醜を感じず
 「 物体 」を「 存在 」として認識している。










 僕たちの視界に映る景色は


 鮮やかな彩りがあり、質感があり…美醜を判別する
 「 見た目 」という要素を100%享受している








 ただあなたの名前、カタカナ推奨さんは少し特殊で。






 特殊な【 眼 】は広大な範囲を映せるものの、


 その色たちは僕たちの見る景色ほど
 彩やかにはなれないし

 
 見ただけで質感を判断するのが難しいほど
 細かな要素が滲んで見えるんだそうだ。







 俯瞰視点になって
 自分の後ろすら目視できるのに

 
 あなたの名前、カタカナ推奨さんはあなたの名前、カタカナ推奨さん自身
 の姿を見ることができない。





 
 それ故に 鏡越しでようやく目視しているわけだ















 まあ、鏡を見る機会そのものが少ないのだから
 能力を使っている時に見ることも当然ほぼない訳で






 あなたの名前、カタカナ推奨さんは、自分の綺麗な瞳を
 自分で目視したことがないという事












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 …そうかな、? 







 そんなあなたの名前、カタカナ推奨さんに、自分の瞳の凄さを
 知ってほしい!









 …と、勢い余って言葉を連ねてしまうと





 あなたの名前、カタカナ推奨さんはちょっと下を向いて

 さっきより少し小さな声で喋りながら
 嬉しそうに照れていた。



















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 …………? 










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 わあ…っ!
 お姉さん、ダイヤモンド綺麗! 







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 ……?! 








 すぐ下にいる、4 ~ 5 歳ほどの少女は
 あなたの名前、カタカナ推奨さんの方を見て目を輝かせた。







 
 それは本物のダイヤモンドを見ているようで、
 あなたの名前、カタカナ推奨さんに目を奪われている。







 その純粋な少女の虹彩には、

 あなたの名前、カタカナ推奨さんの美しいダイヤモンドが
 放つ虹色が確かに反射していた。

 







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⠀ ⠀ ⠀
 ん、……? 

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 め、…目を閉じてください…! 






 慌てて耳打ちすると、
 少し不思議そうな顔をしながら瞼を落とした。








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 ま、待って…! 
 お姉さんとお兄さんが 
 ビックリしてるわよ!

⠀ ⠀ ⠀
 ご、ごめんなさい…… 
 この子すぐにこうなってしまって… 






 少し目を離していたのか、
 近くにいた大人の女性が慌てて駆け寄ってくる




 きっとこの少女の母親だろう…
 バレなければ、本当にそれだけでいいのだけれど。




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 あの…キャンディ代、 
 差し上げますので
⠀ ⠀ ⠀
 どうかお許し
 いただけないでしょうか…… 





 日常国の国民は皆
 思慮深くて優しい人ばかりだと分かってはいたが…


 まさかこんなにまで気を使ってくれるとは








 
⠀ ⠀ ⠀
 だ、大丈夫ですよ…?! 
 それよりもお子さんと休日 
 楽しんでください!





 実際、僕は財務大臣なんていう
 本当にいい仕事をもらっているので


 こんな事でお金を受け取るほど
 お財布事情には困っていない。







 それより、この国で幸せそうに
 過ごしている子供の笑顔を見れて

 こっちの方が幸せな気分になって
 危うく浮かれそうになってしまった。






⠀ ⠀ ⠀
 あ、…ありがとうございます…! 



⠀ ⠀ ⠀
 大変な時期だと思いますが、 
 私はずっと応援してますので…! 







 ……そう言って、何度も頭を下げ
 瓶を抱えた子供を抱き抱え 奥のテーブルへ行った






⠀ ⠀ ⠀
⠀ ⠀ ⠀
 …ふふ、可愛い子だったね 



 そう言って、ちょっと思い出すように
 右上の方を向いて

 口角を上げたまま嬉しそうにしている。





 本当に、この笑顔が可愛くてたまらない……













 ……って、違う違う…! まずはこっちだ。




 あまりにも可愛らしいので忘れそうになるが、
 一旦それより優先すべき事がある。





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 ……あの、無意識…ですか? 











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⠀ ⠀ ⠀
 ……? 







 当の本人は1割も心当たりが無いような
 疑問を浮かべているが、

 ついさっきダイヤモンドの瞳が
 見えてしまったのは事実。






 ほんのり下を向いていたから命拾いしたものの、

 これで多数の人に見られてしまえば
 最早それでおしまいだ。




 無意識なら、早いうちに気づいていただかないと
 あなたの名前、カタカナ推奨さんの命が危うい…!

 





⠀ ⠀ ⠀
 ……今、目開いてましたよ 





⠀ ⠀ ⠀
⠀ ⠀ ⠀
 あれ、ふふ。そうだったの? 







 軽い……



 思った以上に、軽い













 そうか……



 何色にも例えがたい、あのダイヤモンドの瞳は










 嬉しくなった時に、無意識に出るのか。











⠀ ⠀ ⠀
 ( …いつか、バレるなぁ… ) 








 そう薄々感じながらも、
 嬉しそうにしているあなたの名前、カタカナ推奨さんを見るのは
 好きなので何も言うことができない。





 まあペイントさんも大方こんな理由で
 指摘できなかったのだろう







 気持ちはわかるよ……

 だって現に今、僕ができていないのだから。












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⠀ ⠀ ⠀
 …… 
 
⠀ ⠀ ⠀
⠀ ⠀ ⠀
 アメジストのキャンディ、 
 見に行ってもいい?







 
⠀ ⠀ ⠀
 ええ、……っ?!
 う、うう〜〜ん…… 








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 ………まあいいや、行きますか! 









 いいやもう、その場でどうせ何とかなる!







 ……とか、その場しのぎの根拠もない信頼で
 この話題を抑え込んだ。











 僕って結構、こういう時考えるタイプなのにな…















 どうやら本当に、このあなたの名前、カタカナ推奨さんって人間は
 人を狂わせる魅力があるようだ。










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