指さす向こうは、ジュエルコーナー
宝石をイメージして作られた
キャンディたちが並んでいる。
精巧なガラスの瓶の中にまた、
透き通った透明のキャンディが入っている。
さながら其れはダイヤモンドのようで、
窓からさす光が反射し
美しい虹霓がテーブルに映っていた
出る前、全身鏡を見ている時にも軽く触れたが
あなたの名前、カタカナ推奨さんは前に、見るものに美醜を感じず
「 物体 」を「 存在 」として認識している。
僕たちの視界に映る景色は
鮮やかな彩りがあり、質感があり…美醜を判別する
「 見た目 」という要素を100%享受している
ただあなたの名前、カタカナ推奨さんは少し特殊で。
特殊な【 眼 】は広大な範囲を映せるものの、
その色たちは僕たちの見る景色ほど
彩やかにはなれないし
見ただけで質感を判断するのが難しいほど
細かな要素が滲んで見えるんだそうだ。
俯瞰視点になって
自分の後ろすら目視できるのに
あなたの名前、カタカナ推奨さんはあなたの名前、カタカナ推奨さん自身
の姿を見ることができない。
それ故に 鏡越しでようやく目視しているわけだ
まあ、鏡を見る機会そのものが少ないのだから
能力を使っている時に見ることも当然ほぼない訳で
あなたの名前、カタカナ推奨さんは、自分の綺麗な瞳を
自分で目視したことがないという事
そんなあなたの名前、カタカナ推奨さんに、自分の瞳の凄さを
知ってほしい!
…と、勢い余って言葉を連ねてしまうと
あなたの名前、カタカナ推奨さんはちょっと下を向いて
さっきより少し小さな声で喋りながら
嬉しそうに照れていた。
すぐ下にいる、4 ~ 5 歳ほどの少女は
あなたの名前、カタカナ推奨さんの方を見て目を輝かせた。
それは本物のダイヤモンドを見ているようで、
あなたの名前、カタカナ推奨さんに目を奪われている。
その純粋な少女の虹彩には、
あなたの名前、カタカナ推奨さんの美しいダイヤモンドが
放つ虹色が確かに反射していた。
慌てて耳打ちすると、
少し不思議そうな顔をしながら瞼を落とした。
少し目を離していたのか、
近くにいた大人の女性が慌てて駆け寄ってくる
きっとこの少女の母親だろう…
バレなければ、本当にそれだけでいいのだけれど。
日常国の国民は皆
思慮深くて優しい人ばかりだと分かってはいたが…
まさかこんなにまで気を使ってくれるとは
実際、僕は財務大臣なんていう
本当にいい仕事をもらっているので
こんな事でお金を受け取るほど
お財布事情には困っていない。
それより、この国で幸せそうに
過ごしている子供の笑顔を見れて
こっちの方が幸せな気分になって
危うく浮かれそうになってしまった。
……そう言って、何度も頭を下げ
瓶を抱えた子供を抱き抱え 奥のテーブルへ行った
そう言って、ちょっと思い出すように
右上の方を向いて
口角を上げたまま嬉しそうにしている。
本当に、この笑顔が可愛くてたまらない……
……って、違う違う…! まずはこっちだ。
あまりにも可愛らしいので忘れそうになるが、
一旦それより優先すべき事がある。
当の本人は1割も心当たりが無いような
疑問を浮かべているが、
ついさっきダイヤモンドの瞳が
見えてしまったのは事実。
ほんのり下を向いていたから命拾いしたものの、
これで多数の人に見られてしまえば
最早それでおしまいだ。
無意識なら、早いうちに気づいていただかないと
あなたの名前、カタカナ推奨さんの命が危うい…!
軽い……
思った以上に、軽い
そうか……
何色にも例えがたい、あのダイヤモンドの瞳は
嬉しくなった時に、無意識に出るのか。
そう薄々感じながらも、
嬉しそうにしているあなたの名前、カタカナ推奨さんを見るのは
好きなので何も言うことができない。
まあペイントさんも大方こんな理由で
指摘できなかったのだろう
気持ちはわかるよ……
だって現に今、僕ができていないのだから。
いいやもう、その場でどうせ何とかなる!
……とか、その場しのぎの根拠もない信頼で
この話題を抑え込んだ。
僕って結構、こういう時考えるタイプなのにな…
どうやら本当に、このあなたの名前、カタカナ推奨さんって人間は
人を狂わせる魅力があるようだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!