第28話

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2026/01/15 06:30 更新










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 ……あ 






 子供たちのはしゃぎ声や、お店の中の音楽
 買い物中の夫婦たちの楽しそうな声が街を包む






 現在2人で歩いている、お城のように綺麗で可愛
 らしい店が連なるレンガ道の商店街の中で



 あなたの名前、カタカナ推奨さんは立ち止まって
 何かに興味の目線を向けた










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 ……キャンディショップ? 








 薄色のアクアブルーの壁に、
 ホワイトの高級感ある廻縁まわりぶちで装飾された
 クリームソーダのような色合いの可愛い建物。




 
 その建物の扉の前に置かれた白のテーブルには、
 白の四角い立て看板が置かれており


 《 一瓶にキャンディ詰め放題! 》

 
 なんて思わず2度見でもしてしまう様な宣伝が
 グレーのマーカーで手書きされている。






 その看板の端に書かれているのは
 《 1000コイン 》 と1文。

 これはおそらく値段の話だろう







 1000コインなんてのは、城に置いてある
 カトラリーのナイフひとつの値段と同じくらいだ


 

 まあ、ちょっと言い方は悪いかもしれないけど
 僕にとってはそれくらい端金だし

 なによりあなたの名前、カタカナ推奨さんが欲しいと言うなら、
 それが1000万コインだって簡単に出せる。





 
 
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 このお店、気になります? 




 お店の中へ顔を向けていたので、
 ちらっと聞いてみれば



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 うん、気になる 





 って嬉しそうにこちらを見てくる。









 そんなの断れるはずないし、
 はなから断る気なんて更々ない









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 なら行きましょ! 
 詰め放題ですよ〜!! 





 繋いだままの手を、ほんのり優しく引いてみると
 またすぐに離れた距離は元通りになった。




























 店内はポップ調の明るい音楽が流れており、
 見渡せば至る所に白のテーブルが置かれている




 
 壁は白を基調とした装飾で飾り付けられていて

 綺麗な白薔薇の造花が壁に固定されていたり
 御伽噺にでも出てきそうな時計が見える。




 テーブルには多種多様なキャンディが入った
 瓶たちが幾つも配置されており、

 ざっと見ただけでも最低100種類はある事が
 わかるだろう






 
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 これ、好きなだけいいの? 




 あなたの名前、カタカナ推奨さんの小さな手のひら2個分ほどの
 ガラス瓶を抱えて、

 にこやかな表情でこちらを見てくる。


 
 
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 もちろん!瓶に入る分なら、
 どれでも好きなだけですよ! 



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 本当?どれにしよう… 




 おもちゃ売り場で欲しいものを選んでいる
 小さな子供みたいに、

 楽しそうにキャンディたちを探している。







 僕は技術方面や財務関係の仕事で忙しくて
 なかなか城内から外に行く機会がなく

 あったとしても3人が僕を気にかけて
 1日フリータイムを作ってくれて、
 城の「 外 」に行くことばかりだった




 

 おかげで毎日仕事も楽しくて、
 お気に入りのお店もできたし凄く感謝している







 けど、あくまで城の外だからあなたの名前、カタカナ推奨さんはそこに
 居ない。こういった理由であなたの名前、カタカナ推奨さんに会う機会
 は関係者の中で誰よりも少ないと自負している




 それこそ、たまに4人で会いに行く事くらいしか
 無いから

 僕はあなたの名前、カタカナ推奨さんのことを
 規格外の強さですごく頼れる、違う世界に居る
 と勘違いするくらいの凄いお姫様って思ってた








 でもそれだけじゃなくて


 甘いものが好きで、嬉しいことがあると
 わかりやすく喜ぶような可愛い人で

 よく笑顔になるし無邪気で、確かにペイントさん
 の妹なんだなあ…と実感する


 意外と身近に感じる、そんな可愛い子だった。








 そう考えたらいつも以上に可愛らしく映っていて


 まるで自分の妹に向けるような
 愛おしさを含んだ不思議な感情を抱いていた












 
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 ……あ。 




 少し進んだと思えば、

 早くも手前の入口付近にあるテーブル
 目の前で立ち止まった。







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 あなたの名前、カタカナ推奨さん、
 メロン味好きなんですね! 






 あなたの名前、カタカナ推奨さんが立ち止まったのは、

 フルーツ味のキャンディが入った瓶が
 沢山並んでいる


 「 フルーツコーナー 」 のメロン味の瓶の前だ。






 大きなガラス窓から差し込んだ光は、
 エメラルドのような美しいキャンディを照らし

 すぐ下の真っ白なテーブルは
 光の影響で透き通った緑色が白を上書きしている。






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 昨日、3つもらったの。 
 それが美味しかったから 






 
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 昨日…… あ、ゾムさんと 
 ショッピさんですか? 


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 あ、いやショッピさんはタイミング 
 なかっただろうし
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 ゾムさんの方かな…? 







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 ゾム、……覚えた 




 キャンディが入った大きな瓶のフタを開け、
 横に置いてあるトングを持ちながら


 嬉しそうな顔で名前を呼んでいる。





 何故だかそれが素直に可愛いと思えなかったのは、
 僕の目が狂ってしまったが故なのだろうか?



 分からないけれど、
 なんとなく羨ましさに似た感情が芽生えた







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 グレープ味も、いいと思いますよ…? 





 ……気づいたら、なぜか対抗している。





 つくづく自分に呆れる
 これが嫉妬ってやつなのだろうか?

 烏滸がましいにも程があるだろう

 



 嫉妬したってことはつまり、
 少しでもあなたの名前、カタカナ推奨さんに好きって感情を
 抱いてしまったということだ。





 嫌でも自覚させられる自分の内面を、本気で恥じた





 
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 …これ? 



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 ふふ、シニガミさんと同じ色 












 あなたの名前、カタカナ推奨さんが持つには少し重そうな瓶を抱えて、
 奥のグレープキャンディの方へ嬉しそうに移動する








 ダメだよ、あなたの名前、カタカナ推奨さん


 それじゃまるで、僕と同じって事に
 喜んでるみたいじゃないですか。






 そんな風にされたら、誰だって勘違いしてしまう













 あなたの名前、カタカナ推奨さんは、多分




 ピンクダイヤの魅了能力なんか無くたって

 僕のことを魅了して、好きなように
 できるんだと思う





 









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 瓶、僕が持ちますよ! 
 重いでしょうから 













 気づかないうちに、
 僕は相当好きになってしまっていたみたいだ。












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