子供たちのはしゃぎ声や、お店の中の音楽
買い物中の夫婦たちの楽しそうな声が街を包む
現在2人で歩いている、お城のように綺麗で可愛
らしい店が連なるレンガ道の商店街の中で
あなたの名前、カタカナ推奨さんは立ち止まって
何かに興味の目線を向けた
薄色のアクアブルーの壁に、
ホワイトの高級感ある廻縁で装飾された
クリームソーダのような色合いの可愛い建物。
その建物の扉の前に置かれた白のテーブルには、
白の四角い立て看板が置かれており
《 一瓶にキャンディ詰め放題! 》
なんて思わず2度見でもしてしまう様な宣伝が
グレーのマーカーで手書きされている。
その看板の端に書かれているのは
《 1000コイン 》 と1文。
これはおそらく値段の話だろう
1000コインなんてのは、城に置いてある
カトラリーのナイフひとつの値段と同じくらいだ
まあ、ちょっと言い方は悪いかもしれないけど
僕にとってはそれくらい端金だし
なによりあなたの名前、カタカナ推奨さんが欲しいと言うなら、
それが1000万コインだって簡単に出せる。
お店の中へ顔を向けていたので、
ちらっと聞いてみれば
って嬉しそうにこちらを見てくる。
そんなの断れるはずないし、
はなから断る気なんて更々ない
繋いだままの手を、ほんのり優しく引いてみると
またすぐに離れた距離は元通りになった。
店内はポップ調の明るい音楽が流れており、
見渡せば至る所に白のテーブルが置かれている
壁は白を基調とした装飾で飾り付けられていて
綺麗な白薔薇の造花が壁に固定されていたり
御伽噺にでも出てきそうな時計が見える。
テーブルには多種多様なキャンディが入った
瓶たちが幾つも配置されており、
ざっと見ただけでも最低100種類はある事が
わかるだろう
あなたの名前、カタカナ推奨さんの小さな手のひら2個分ほどの
ガラス瓶を抱えて、
にこやかな表情でこちらを見てくる。
おもちゃ売り場で欲しいものを選んでいる
小さな子供みたいに、
楽しそうにキャンディたちを探している。
僕は技術方面や財務関係の仕事で忙しくて
なかなか城内から外に行く機会がなく
あったとしても3人が僕を気にかけて
1日フリータイムを作ってくれて、
城の「 外 」に行くことばかりだった
おかげで毎日仕事も楽しくて、
お気に入りのお店もできたし凄く感謝している
けど、あくまで城の外だからあなたの名前、カタカナ推奨さんはそこに
居ない。こういった理由であなたの名前、カタカナ推奨さんに会う機会
は関係者の中で誰よりも少ないと自負している
それこそ、たまに4人で会いに行く事くらいしか
無いから
僕はあなたの名前、カタカナ推奨さんのことを
規格外の強さですごく頼れる、違う世界に居る
と勘違いするくらいの凄いお姫様って思ってた
でもそれだけじゃなくて
甘いものが好きで、嬉しいことがあると
わかりやすく喜ぶような可愛い人で
よく笑顔になるし無邪気で、確かにペイントさん
の妹なんだなあ…と実感する
意外と身近に感じる、そんな可愛い子だった。
そう考えたらいつも以上に可愛らしく映っていて
まるで自分の妹に向けるような
愛おしさを含んだ不思議な感情を抱いていた
少し進んだと思えば、
早くも手前の入口付近にあるテーブル
目の前で立ち止まった。
あなたの名前、カタカナ推奨さんが立ち止まったのは、
フルーツ味のキャンディが入った瓶が
沢山並んでいる
「 フルーツコーナー 」 のメロン味の瓶の前だ。
大きなガラス窓から差し込んだ光は、
エメラルドのような美しいキャンディを照らし
すぐ下の真っ白なテーブルは
光の影響で透き通った緑色が白を上書きしている。
キャンディが入った大きな瓶のフタを開け、
横に置いてあるトングを持ちながら
嬉しそうな顔で名前を呼んでいる。
何故だかそれが素直に可愛いと思えなかったのは、
僕の目が狂ってしまったが故なのだろうか?
分からないけれど、
なんとなく羨ましさに似た感情が芽生えた
……気づいたら、なぜか対抗している。
つくづく自分に呆れる
これが嫉妬ってやつなのだろうか?
烏滸がましいにも程があるだろう
嫉妬したってことはつまり、
少しでもあなたの名前、カタカナ推奨さんに好きって感情を
抱いてしまったということだ。
嫌でも自覚させられる自分の内面を、本気で恥じた
あなたの名前、カタカナ推奨さんが持つには少し重そうな瓶を抱えて、
奥のグレープキャンディの方へ嬉しそうに移動する
ダメだよ、あなたの名前、カタカナ推奨さん
それじゃまるで、僕と同じって事に
喜んでるみたいじゃないですか。
そんな風にされたら、誰だって勘違いしてしまう
あなたの名前、カタカナ推奨さんは、多分
ピンクダイヤの魅了能力なんか無くたって
僕のことを魅了して、好きなように
できるんだと思う
気づかないうちに、
僕は相当好きになってしまっていたみたいだ。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!