第63話

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2026/04/03 12:13 更新






ゆっくりと目を覚ます。


窓から差し込む陽に
時間の感覚が曖昧になる。


動こうとして
指先に触れている感触に気づいた。


視線を落とすと、絡んだままの指。
離さないように、少しだけ力が込められる。


顔を上げると
ベッドの横に腰を下ろした與那城さんが
顔を並べていた。


こんな距離で寝ていたんだと思うと
急に意識してしまう。



伏せられた長いまつ毛が
やわらかく影を落として


その影が揺れるたびに
呼吸が静かに伝わってくる。


きれいな鼻筋をたどると
わずかに開いた唇がすぐそこにあって
息がかすかに届く。


近すぎて逸らすこともできない視線に
呼吸が少しずつ乱れていく。

そのとき與那城さんが、目を覚ました。


與那城奨
與那城奨
……起きた?


低い声が、すぐ近くで響く。


(なまえ)
あなた
……はい


與那城さんは、指を少しだけ動かして
絡んだ部分をなぞる。


それだけで、熱とは別の体温が上がる。


額に手が触れる。


與那城奨
與那城奨
……熱下がったね

與那城奨
與那城奨
よかった…心配した


絡んだ指が
少しだけ強く握られる。


距離が近づいて
熱を確かめるみたいに額が触れる。


窓から入る光が
ゆっくりと部屋に心地よさを満たしていく。


やわらかい明るさに、あたたかさが重なる。


與那城奨
與那城奨
元気になったら
與那城奨
與那城奨
この前言ってたやつ、行こう

(なまえ)
あなた
…言ってたやつ?

與那城奨
與那城奨
芝生で本を読むやつ
與那城奨
與那城奨
天気のいい日に

(なまえ)
あなた
……行きたいです

與那城奨
與那城奨
じゃあ、決まりね



少しだけ離れた額が
合図のように優しくぶつかる。


窓からの光が、ゆっくりと揺れる。


この距離を、同じ温度で感じている気がして
ただ、しあわせだった。








愛奈さん、たーたんさん、ひーさんさん
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