第123話

安心できる場所
224
2025/08/02 12:22 更新
廊下を進み、リビングの明かりをつけると出かけた時と変わりない、いつも通りの静寂さがそこにはあった。
「ただいま」と声を出してみるも誰からも返事はない。
いつもならあなたが「おかえり」と優しい声で出迎えてくれるのだが、今日はそれもなく、しんとした空間が広がっていた。
「今日は遅くなる」と連絡はあったものの、理由を聞いてものらりくらりとはぐらかされてしまった為、何故あなたの帰宅が遅くなるのか分からなかった。
普段であれば、遅くなる理由も俺が聞く前に一緒に伝えてくれていた。
いつもと違うあなたの様子に違和感を覚えながらも致し方なく帰宅したのだ。

わかゔぁ
わかゔぁ
なんなんやろか…
答えの返ってこない呟きを吐き、どさっとソファーへなだれ込む。
帽子を取り、机の上に ポン と、ほぼ投げ捨てるように置いた。

暫くスマホでTikTokを見たり、XやInstagramを見たりして時間を潰していたが、一向にあなたの帰ってくる気配はない。
LINEを確認してもあなた宛に最後に送った「何時ごろ帰る?」の文字の横に既読はついていなかった。
時計の針を見ると、ソファーに倒れこんでから1時間半が経過していて、短い針が10を指そうとしていた。
わかゔぁ
わかゔぁ
どこに居るかもわからんし…
なんかあったんやろか…
やはり誰も返事をしてくれないただの呟きにどんどん不安がこみあげてくる。

本当に何か事件にでも巻き込まれたんじゃないか
もしかして…もしかして…
と、良くない妄想ばかりが広がっていく。

普段のあなたならありえない行動に嫌な予感がしていた。

この予感がただの思い過ごしでありますように。

そう願うしかできなかった。


自分を落ち着かせるためなのか、無意識にキッチンの掃除をし始めた。
とはいっても、普段から綺麗に整頓されて清潔感のあるキッチンを始めとする水回りは大それた掃除をする必要はない。
なんとなく五徳周りを拭いてみたり、シンクを磨いてみたりした。
さっきより綺麗になったかなんて分からない。

どれくらい掃除に没頭していたか分からなくなったころ、ガチャリと玄関の方で音が聞こえた。
そこから数十秒経ってリビングの扉も開いた。
わかゔぁ
わかゔぁ
…おかえり。
(なまえ)
あなた
……
…ただいま。
ばつが悪そうに返事を返すあなたの顔はすごく疲れたような、何かを隠しているような…そんな気がした。
わかゔぁ
わかゔぁ
ずいぶん帰ってくるん遅かったな。
(なまえ)
あなた
うん…。
ごめんね。
俺が聞きたいのは謝罪じゃなくて、遅くなった理由。
なんで?どうして?俺には理由を教えてくれないのか?
いつもあなたの考えてることは手に取るように分かるのに、今回は何を考えているのかサッパリ分からない。

俺には言えないことなのか?

無事に帰ってきたあなたに安堵はしたが、もやもやは募っていくばかりだ。
わかゔぁ
わかゔぁ
…なんかあったんか?
意を決して聞いてみた。
先ほどLINEでは答えてくれなかった内容を聞き出そうと言葉を絞った。
(なまえ)
あなた
…何でもない。
ただ、ちょっと…
そういうと続けざまに「お風呂入る」と浴室に消えて行ってしまった。
「先に寝て。」という言葉も追加して。


俺はこれ以上聞くことができず、浴室に消えていったあなたの背中を思い出していた。










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めちゃくちゃお久しぶりです…
3年くらい放置してましたね…
122話(停止前最後の更新話)にコメントいただいてたことにも気づくことなく申し訳ありません…
呟きページのほうで更新していくと書いたは書いたのですが本当に鈍行になると思います。
ログイン情報さえ行方不明にしてしまったので、ログインできたのが奇跡に近いです。

一応、自分で書いたお話は完結も含めてすべて読み返しました。
あーー恥ずかしいと思いつつ、まぁ自分で書いたしな…と。

3年前はスマホでポチポチとお話を綴っていましたが、再開後はPCにて更新再開をしていくことにしました。
ですので、更新自体は鈍行かもしれませんが、スイッチが入ればさっさとUPできるのではなかろうかと思います。

3年前、読んでくださった方々がまだ48ファンでいらっしゃるのか分かりませんが、いただいた言葉を糧に更新頑張っていければと思います。
また、私の居なかった3年間の間に48ファンになった方にも届いたらいいなと思います。

ただ、コメント通知はくるんだかこないんだか分からないので、気づいたらお返しするかと思います。
引き続き、恋々ともどもよろしくお願いいたします。

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