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第16話

第十六話
68
2024/06/16 02:46
Murder side
国木田独歩
Murder。










泉鏡花。


ポートマフィアからの新人が居なくなったとの報せは来ていた。

最も、其奴とは会ったことも話したこともないから余り関係は無いんだがな。






組合からの攻撃が激しさを増す中、俺は今日も今日とてうずまきで仕事だった。











Murder
いらっしゃい。
何かあったか?お前が来るなんて珍しい。
愚痴か?それとも普通に珈琲を御所望か?それとも店長をお呼びか。
国木田独歩
済まないが、今はそれどころではない。
Murder、マスターに話は通した。今すぐ旧晩香堂へ移動するぞ。
Murder
晩香堂だァ……?
国木田独歩
社長からのご指示だ。
会社設立前に拠点にしていたと云う講堂へ行けと。
Murder
事務員は?他はどうした。
国木田独歩
事務員たちは県外へ。他はもう動き始めている。
お前を迎えに来たんだ。
Murder
ふうん……。
国木田独歩
さっさと準備をしろ。お前が最後だからな。
Murder
ほいほい。










準備を済まし、晩香堂へ急ぐ。







もう既に、俺と国木田以外のメンバーは居るようだった。











与謝野晶子
お、やッと来たねェ。
宮沢賢治
これで全員揃いましたね!
江戸川乱歩
社長はもうそろそろだ。
ほらこっちこっち。










江戸川が誘った方へ行くと、ここへ座れと自分の隣を指差す。







あの自由探偵の隣は勘弁だから宮沢の隣に座ったが。











中島 敦
社長。
福沢諭吉
皆聞け。










全員が社長の方へ目を向ける。







一気に緊張感が高まった。











福沢諭吉
嘗て……
三日か二日前には、戦争を免れる途は在った。
しかしの途も今や閉ざされた。社の鏖殺を謀るマフィア。社の簒奪を目論む組合。
この両雄より、探偵社を守らねばならぬ。

太宰、説明を。
太宰治
はあい。

組合は資金力に。マフィアは兵の頭数に優れます。正面からかちあえば探偵社と雖も脳天が弾け飛びます。
そこで、我々は人員を守勢と攻勢に分割し、奇襲戦法で姑息に抗います。
守勢の要は何と云っても、此処で与謝野先生を守る事。
先生の治癒能力があれば、死なない限り全快できますからね。嬉しいかは別にして。










その言葉に顔を歪める江戸川。



俺は与謝野の治療を受けたことがないから分からないが、それなりに酷いものなのだろうと思う。






宮沢は笑ってるが。












チーム分けはこうなった。


守勢

社長、江戸川、与謝野、宮沢、そして俺。


攻勢「甲」

国木田、谷崎


攻勢「乙」

太宰、中島










太宰治
そして……
攻勢は二組に分割。
谷崎君の隠密能力と、私の異能無効化で敵の横あいを叩く。

この戦の肝要は、この拠点を隠匿することです。
敵の異能者総出で此処に雪崩込まれると、守勢が保ちませんから。
福沢諭吉
生き残るのは一組織のみだ!
闘う他に活路はない!!


三組織異能力戦争だ!!!





























江戸川乱歩
暇だから遊戯しようよー
誰か提案ある人ー
あっ、ない?じゃ、もういいやしりとりで。
「殺人事件」
与謝野晶子
乱歩さん早速終わってるよ。
Murder
しりとりのルール知らねえのか。
宮沢賢治
ん?……んー…………
浮かびません!流石乱歩さん!強いですね!
与謝野晶子
妾ゃもうツッコまないからね。
Murder
しりとりのルール知らねえのか。
宮沢賢治
博識そうな国木田さんなら何か知ってるかもしれません!電話してみます!
江戸川乱歩
えー賢治くんそれズルじゃない?
宮沢賢治
国木田さん、ン、から始まる言葉って何でしょう?
国木田独歩
《何だ急に素っ頓狂な質問を……?

判ったぞ賢治!その刺客はNがイニシャルの人物だな!?》
宮沢賢治
何の話ですか?
Murder
ん"っ……









思わず吹き出しそうになった俺は悪くない。













江戸川乱歩
暇だ〜外出たいぃ〜
Murder
同感だ。本持ってくりゃよかったな……
与謝野晶子
今出たらマフィアか組合に頸を捥り取られちまうよ。
福沢諭吉
監視映像に異状は無いか。
与謝野晶子
今の処は退屈な映像ばかりだねェ。
福沢諭吉
この講堂は通常入口が存在せず、侵入には地下の廃路線を通るしかない。
故に敵兵が侵攻してきた時、路線内の監視映像によって事前にそれと知れる。
与謝野晶子
道中は罠も満載だしねェ。この地形で侵掠戦なんて、余程の大軍隊でもなきゃ二の足を踏むさ。
江戸川乱歩
戦争なんて退屈だよ!駄菓子の備蓄は半日で尽きたし……
与謝野さん!此で花札やろう、Murderも!
与謝野晶子
おやおや何賭ける?
Murder
俺ァルール知らねえぞそれ…










突然画面を見て固まる江戸川。





どうしたもんか。さっきまでご機嫌だったのに。












与謝野晶子
どうしたンだい?
江戸川乱歩
社長。
攻勢を呼び戻した方が良いよ。
福沢諭吉
敵か?
襲撃規模は何人だ?












江戸川乱歩
一人だ。













与謝野晶子
監視映像、弐番と伍番が停止!
福沢諭吉
自動迎撃銃座を起動せよ!









線路にいる刺客に向かって銃弾が打たれる。





並の人間じゃ相当やられるだろうが、其奴はそうもいかなかった。











______
《特使の摂待役がこんな木偶とは。
泣かせる人手不足じゃねえか、探偵社。
生きてる奴が出て来いよ。》
江戸川乱歩
……社長。
福沢諭吉
お前も私と同意見か。



















______
…たった三人か。見縊られた話だぜ。
与謝野晶子
探偵社は事前予約制でねェ。対応が不満なら余所を中りな。
______
マフィアが敵拠点で暴れるのに予約がいると思うか?
宮沢賢治
はい!要らないと思います!
Murder
ご最もだな。
与謝野晶子
二人の云う通りだよ。暴れたいなら好きにしな。

けどアンタは暴れに来たんじゃない。だろ?
______
ほう。何故そう思う?
与謝野晶子
ウチは探偵だよ。訪客の目的位、一目で見抜けなくてどうするンだい。
______
お宅の社長は?
与謝野晶子
そこだよ。










与謝野は監視カメラを指差し、そこへ向かっていく刺客。

懐から写真を出し、それをカメラの前に翳す。











______
うちの首領からお宅等に贈品だ。
福沢諭吉
《此は……組合の団員?》
______
奴等を「餌」で釣った。現れる場所と時間も此処に書いてある。
煮るなり焼くなり御自由にどうぞ。
福沢諭吉
《……何?》
______
こんな好機滅多に無いだろ?憎っくき組合に一泡吹かせてやれよ。
与謝野晶子
成る程。唆られる案だね。けどもっと善い案があるよ。

アンタの手足を削ぎ落としてから、何を企んでるか吐かせてやるってのはどうだい。
______
そりゃ凄え名案だ。やってみろよ。
与謝野晶子
賢治、Murder!
宮沢賢治
はーい!










宮沢は線路の鉄骨を持ち上げ、それを刺客に向ける。












______
矢っ張り伝言人は性に合わねえ。
仕事はこうじゃねぇとなァ!
宮沢賢治
気をつけて下さーい!










鉄骨を宮沢が振りかざす。








だが刺客は鉄骨の上に乗り、そのまま宮沢へ蹴りを入れた。





俺も試しに骨を投げてみたが当たらず避けられた。



その隙に与謝野は鉈を構え、背後から襲いかかろうとしたが。











その刺客は天井を足場にして立っていた。












Murder
チッ。
与謝野晶子
その異能……「重力遣い」の中原中也だね。
中原中也
ち……太宰の兵六玉が喋ったか。

太宰がそれ程警戒してんなら、期待に応えねえとなァ。










天井から飛んで降りてくる中原中也。








その足元にはクレーターが出来ていた。









中原中也
さァ。「重力」と戦いてえのは何奴だ?
福沢諭吉
《答えよ、ポートマフィアの特使。
貴兄らの提案は了知したり確かに探偵社が組合の精鋭を挫けば、貴兄らは労せずして敵の力を殺げる。
三社鼎立の現状なれば、あわよくば探偵社と組合の共倒れを狙う策も筋が通る。》
中原中也
だが、お宅らにも損はない。だろ?
福沢諭吉
《この話が本当にそれだけならばな。
探偵社が目先の獲物に喜んで噛み付く野良犬だとでも思うのか?敵に情報を与え操るは高等戦術だ。
この様な木理のは荒い策で我等を操れると考えるなら、マフィアと戦争する価値もない。》
中原中也
……敵の頭目から直々に挑発を賜るとは。光栄だな。
福沢諭吉
《何を隠している?》
中原中也
何も。
福沢諭吉
《この件の裏でマフィアはどう動く?》
中原中也
動くまでもねえよ。
江戸川乱歩
《やあ、素敵帽子君。組合の御機嫌二人組に情報を渡したのは君かい?》
中原中也
あ?……そうだが。
Murder
…素敵帽子……
江戸川乱歩
《組合は僕達と同じように罠を疑った筈だ。しかし彼等は食いついた。余りに「餌」が魅力的だったからだ。
何で組合を釣った?》
















福沢諭吉
《事務員を「餌」にしただと!?》
中原中也
直ぐ避難すりゃ間に合う。その上組合はお宅等が動く事を知らねえ。楽勝だ。
与謝野晶子
つまりアンタらは、事務員の居場所を探り出して組合に密告し、さらにそれを探偵社に密告。
自分達は汗ひとつかかずに二つの敵を穴に落とした、って訳かい。
中原中也
穴だと判っていても、探偵社は落ちずにはいられねえ。

首領の言葉だ。














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背後出し失礼します。


長らく更新をサボってしまいすみませんでした。



言い訳をさせてください。



私、今年で受験生なんです。

今どうしても行きたい学校があって、そこに入れるようテストの点数やら何やら上げようと思い、塾も今までと変えて厳しい所へ行ったりと、色々とやっていたら余裕で4ヶ月サボってました。



本当に申し訳ありません。





他の作品も更新するする詐欺をしていたのは本当に申し訳ないと思っております。




これからも更新するする詐欺すると思います。

ですがここで辞める気はありませんので、どうか最後まで、お付き合いお願いします。







後すいませんちょっとしたこれからのお話です。

本当はやるつもり無かったんですけど、それだとMurderさんの活躍が余りにも無さすぎるので。


だから他のAUをぶち込もうかと思います。


ぶち込むAUは決まってます。

みんな大好きあの御三家の一骨を入れようと思っております。




では〆で。


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