律の言葉にみんなが暫く沈黙していれば、
教室の近くに二人の人間の気配を感じた
一人はドアの前、
今まさにドアを開けようとしている
もう一人は────
ガラガラッ
そこまで考えたタイミングで、ドアが開く
立っていたのは、白装束の大人だった
───────男か
そう思い至るよりも早く、
私は心の中で思いっ切り顔を顰めた
────いや、少し実際に
表情に現れてしまったかも知れない
私が白装束を見て最初に抱いた感想は───
────〝激しい嫌悪〟その一言に尽きる
────確定だ
確実に呪詛師か、或いはそれに準ずる人間だ
纏わりつく呪力が異常過ぎる
呪力があること自体も滅多に無いのに、
その上コイツが纏っているのは
ドロドロした悍ましい呪力
それでいて、呪霊は一体も憑いていない
明らかに呪詛師かその一派だ
────護衛では無く呪術師として
今すぐにでも殺すべき人間
でも、E組のメンツがこの場に居る今、
それは出来ない
────イラつくけど、今は保留かな
一人で思案していれば、白装束の男は
唐突に腕を出す
刹那、鳩が現れた
マジックか、或いは術式か⋯⋯⋯
呪力は無かったし、
マジックか普通に袖に隠してたか
呪力云々が無くても、
そもそも本名を明かさない時点で
明らかに怪しいでしょ
まぁ、みんなはそうは思わないみたいだけど
渚くんの言葉に合わせて、
みんなが殺せんせーの方を見る
────が、殺せんせーは教壇ではなく
天井の隅に液状化状態でへばり付いていて
⋯⋯⋯いや、マジかい
殺せんせーって噂に踊らされるタイプなんだ
なんか、結構簡単に揺さぶり掛けられそう
多分、シロ以外に感じるもう一人の気配が
その転校生なんだろう
にしても、随分と珍しい場所に待機している
こんな天候なのに、ねぇ⋯⋯⋯
何かしら裏があると考えて良さそうだ
シロがそう言えば、
みんなは楽しみなような、
それでいて緊張しているような
複雑な表情で、転校生が入って来るであろう
教室のドアを見つめる
────残念だけど、
転校生はそこからは入って来ないよ
だって、待機場所が
ドアの前じゃないんだもん
ドゴンッ
私の後ろから、壁が崩れる音がする
転校生が待機してたのは────
──────〝外〟だ
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!