兄さんの部屋から逃げる様に
自分の部屋に行く。
ある意味でトラウマになりそうなドレスを脱いで、すぐに部屋着に着替える。
兄さんは…いい人過ぎるんだよ。
強いのも知ってる。
裏社会で1位2位を争う位の銃の使い手って事も知ってる。
でも、兄さんは優しすぎるんだ。
優しさも時には傷を作る事をあの人は知らない。
あの時だって、謝らなくて良かったんだよ。
悪いのは私なんだから。
黒のベッドに飛び込む。
恥ずかしい。
この跡を付けられた事も。
兄さんに見られた事も。
あぁ…マジで恥ずいし腹立たしい。
女は可愛いだけじゃいけない。
この世界では、「強さ」だけが女の武器なんだから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!