和也 Side
大ちゃんの機嫌が悪い。
朝方帰ってきたみたいやけど、どこに行ってたのかは知らない
「 大吾くん、集中力切れてますよ 」
そう恭平が注意すると、大ちゃんは小さく舌打ちをした。
あーあーあー、あかんやつや、これ
「 大ちゃん、 」
流星が大ちゃんの隣に座る
「 なんかあった? 」
「 いや、 」
「 なかったって顔してないで 」
「 何もないって言ってんるやん、ちょっと黙って 」
静まるスタジオ。
「 はぁ…みんなさ
あなたが自傷してたって気づいてた? 」
「 …なにそれ 」
みっちーが険しい顔をする。
大ちゃん、知っちゃったんや、
「 高橋、知ってたんやろ? 」
「 …はい 」
詰め寄られる恭平が、圧に耐えられなくて答えた
「 他誰やねん、知ってたん 」
「 俺も、 」
声を上げると、そっかって座り込んだ
「 なんで言わへんの 」
「 なんでって… 」
「 そんな大事な事なんで言わんのって言ってんねん 」
「 そんなの、 」
恭平が目に涙をためる
「 そんなの、あなたちゃんが望まなかったからに
決まってるじゃないすか、 」
「 そんなの口止めされても…「 あなたちゃんが 」
苦しそうに顔を歪めて
恭平が目にためていた涙をこぼす。
「 あなたちゃんが私は死ぬんやって言うんすよ、
手首、これやめましょって言ったら、
慣れるためやからって笑いながら泣くんです
それ見てやめろとか言えるわけない、 」
数少なくなった、
あなたの本音を、恭平は聞いていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。