数年前も、君は此処でなにをするでもなく、唯夜空を見上げていた。
俺達もあんな星になろうな!!と手を伸ばしたぷりちゃんは、ある意味星になれたのだろう。
俺を置いて。
俺は、彼のことが好きだった。
大好きで、大好きで、…仲間だった。
でも、もうキライ。
そう思わないと俺の中のぷりちゃんの出来上がった像が、音を立てて崩れ落ちていく気がしたから。
星は、大きい。途轍も無く。
でも、此処から見たら小さい。
豆粒みたいに見える星の数々は、手を伸ばしたところで届かない。
他の星では生きられないように、俺達もあんなに大きな目標を達成してしまったから生きられなかったんだ。
【二人で一つになる。】
それは、叶っていそうで叶っていなかった、唯一の俺の願いだった。
流れ星が降った瞬間、願い事を唱えるでもなく、そう呟いた。
届く筈のない流れ星に手を伸ばしたぷりちゃんは、今にも崩れ落ちそうな不安定さだった。
ずっとそばに居た俺にしか分からない、微分な表情の変化だった。
ぷりちゃんの願いのひとつが、今。
秋の夜。
ギラギラと輝く星に照らされた一人の男が、無邪気に笑っていたという。
その場には、二つの黄と黄緑の流れ星が寄り添うように流れていた。
翌日、当然燃えくずになった宇宙の塵が発見された。
【 流れ星はこうなる運命だからなぁ 】
誰かが何処かで呟いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。