ずっとウザイと思ってた。
時には喧嘩して
居なくなればいいと思った時もあった。
こんなひねくれた俺には勿体ないくらいの飛びっきりの笑顔で
そう呼ばれた時には
変に気恥ずかしくなって邪険に扱ってしまう時期もあった。
それでも諦めずに俺を叱って、真っ直ぐな人間に育ててくれた。
掠れた声しか出なかった。
無邪気に道路に飛び出した女の子を庇って、あっきぃは死んだ。
救急車の中で、あっきぃが息も絶え絶えに俺に告げたあの言葉。
『 おれ、最期くらい…いいお兄ちゃんに慣れたかな…ぁ…
庇っ、…た時のおれ……かっこ、よかったでしょ…ぉ? 』
はは、と短く微笑んで息を引き取ったあっきぃは、俺の実兄ではなかったということを後に知った。
もっと優しく接すればよかった
もっと一緒に遊べばよかった
女の子の親から強引に渡された謝礼金と運転手からの慰謝料で、ひとりぼっちの俺には有り余るほどの金が手に入った。
それなのに感じるのは絶望と焦りだけ。
まるで俺だけが地獄に突き落とされたかのような孤独感を抱えて、
やっぱり、俺が耐えられるはずなかった
風に吹かれてガシャガシャと音を立てる錆びたフェンスの外側で、居るかも分からない明日の方向を見上げて問う。
なんでもいい。会いたい。
また大きな風が吹いて、フェンスがガシャンと音を立てる。
『 おいで 』
そんな声が聞こえた気がして
次の瞬間にはもう、一歩を蹴り出していた。
勢いよく身体が宙を舞う。
待ちわびていた再会が果たせると思うと、落ちるまでの時間が酷く長く感じた。
やがて、鈍い痛みと共に何かが叩きつけられたような嫌な音が木霊する。
𓈒𓂂𓂃◌𓈒𓐍 Mary Bad End.
お久しぶりすぎて禿げ散らかしました。
現場からは以上です。
遅筆申し訳ないです(
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。