拠点に着くと俺が出た時とは全く様子が違い、見るも無惨に荒らされていて
そして、やたら利く嗅覚が感じた人間の血の匂いと横たわる人の足。
敵の姿は消えていた
散乱していた中心に横たわっていたのは、俺のドクターその人だった
ヒーローの考えとしてはあってはならないかもしれないけど、なにかの間違いで別の人だったりしないかと思った
ドクターは意識がなく、肩には噛まれたような跡。そしてそこから流れる血。耳や周辺辺りからも痛々しい引き裂き傷が顕になっている
使っていたインカムらしきものは破壊されて元の姿が分からない状態で遠くに転がっている
幸いなことに大きいパネルがバリケードとして役に立っていたようだ。これ以上噛まれたりでもしたら致命傷だったに違いない
自分の身体より遥かに小さいのに自分の数十倍の傷を負って、意識を失い倒れている、ドクター
守れなかったのがどうしようもなく悔しい、よりにもよって、なんでドクターが
泣き言は後からいくらでも言え、と自分の服を破き応急処置をする。破った服の切れ端をドクターの傷口にきつく結んで肩を止血した。
医療班であったドクターの手当の道具が荒れ果てた周囲に散乱していたことが幸いだった。消毒を済ませ、ガーゼで額を抑える
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。