第2話

再会
25
2025/08/31 00:40 更新
綾風は努力を認められ、通常では新人に任されないような仕事も任せられるようになっていた。今日は、取引先との打ち合わせ。上司と一緒に先方に出向いて対応することになっている。緊張気味の綾風をよそに、上司が着信を受け、相手先の会社で一人にされてしまった。
ーえ、うそでしょ…まあ、すぐ戻ってくるよね?
モジモジしたような綾風を、チラチラ見る社員もいた。そこに、綾風に一際熱い視線を送ってくる男性がいることに気づいた。何気なくその男性に目をやると……。
ー似てる。まさか、そんなことって…………。
"似てる"ではない、紛れもなく、本物の宏人だった。
「綾風……」
綾風は宏人を見つめ、深呼吸をしようとしたのに、涙が溢れてしまった。あの頃の雰囲気より、少し大人になった視線に抱きしめられ、思わず切ない吐息が漏れる。
「会いたかった…」
そう言ったのは、宏人だった。綾風の涙を拭いながら何度も言う。人目も憚らず、全身で近づいて来る宏人に、綾風は切ない思いが込み上げる。
「ひ、ろと……」
「俺、ずっと綾風が好きだった。また会えて、うれしい……」
綾風の目の前にいるのは、あの頃の、大好きな宏人だった。
「私も、会いたかった……」
宏人は、たまらず綾風を抱きしめた。綾風は、全身に伝わる待ち焦がれていたこの感触に、ときめきが止まらなくなった。
「今日時間ある?一緒に…ごはんしよう」
「うん……」

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