第54話

Episode 52 :「決定的な夜」
268
2025/11/29 08:00 更新
夜の空気は、昼のざわめきとは違って静かで、どこか甘い。
あなたが約束の場所に向かうと、
すでにマークが外で待っていた。

街灯に照らされる彼は、落ち着いているようで、
どこかそわそわした影もあった。
マーク
マーク
来てくれてありがとう。
声が優しくて、あなたは胸の奥がじんと熱くなる。
(なまえ)
あなた
…話って?
尋ねた瞬間、マークは数秒だけ言葉を探し、
そしてあなたの前にゆっくりと歩み寄った。
マーク
マーク
ねぇ、あなた
その名前の呼び方だけで、
もう心が揺れる。
マーク
マーク
今日、何回も距離縮めちゃったよね。
(なまえ)
あなた
……うん。
マーク
マーク
気づいてた?
(なまえ)
あなた
……気づかないわけない。
あなた が視線を落とすと、
マークは小さく笑い、そして真剣な目で見つめてくる。
マーク
マーク
抑えるの、もう無理だった。
胸の奥が強く締めつけられた。
マーク
マーク
昨日さ、家まで送ったとき…
帰り道、ずっと考えてた。
マークの声は静かで、でも決意があった。

マーク
マーク
やっぱり、俺あなたのことが好きだ。


まっすぐで、逃げ場のない言葉。

あなたは一瞬、息が止まった。
マーク
マーク
ずっと、ずっと好きだった。
別れてからも、仕事で離れてても。
君の名前を聞くだけで、胸が痛くなるくらい。
マークの声がほんの少し震える。
マーク
マーク
……だから、もう嘘つかない。
また君の隣にいたい。
あなた の心が一気にかき乱される。

ずっとしまい込んでいた想いが、
呼吸と一緒にゆっくり溢れ出す。
(なまえ)
あなた
マーク……
名前を呼んだ瞬間、声が震えていた。

マークはそっと手を伸ばし、
彼女の頬に触れる前に一度だけ問いかける。
マーク
マーク
嫌なら言って。
触れたら……もう簡単には離れられない。
その言葉が、怖くて、でも嬉しくて。

あなたはゆっくりと首を横に振った。
(なまえ)
あなた
……嫌じゃない。
その一言で、マークの表情がふっと崩れる。
安堵と恋しさが混ざったような、弱い笑顔。

そして、手が触れた。

頬を包む指先は温かくて、優しくて、
それだけで涙が滲みそうになる。
マーク
マーク
あなた
名前を呼ばれた瞬間、
距離がゆっくり縮まった。

唇が触れそうなところで、
マークは一瞬だけ止まる。
マーク
マーク
もう一回言うね。
好きだよ。
そのまま、ふたりの影が重なった。

キスは深くもない。
でも、ずっと恋しくて、ずっと求めていた温度で。

離れたあと、マークが額を重ねながら小さく笑った。
マーク
マーク
やっと…届いた。
あなたは胸に手を当て、震える息を吸う。

──この夜から、もう元には戻れない。

そんな確信が、ふたりの間に静かに灯っていた。

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