第52話

Episode 50 : 「玄関前がいちばん甘い」
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2025/11/27 08:00 更新
家の近くまで来ると、街灯が少なくなり、夜は静かに深くなる。
ふたりの影はひとつに繋がりそうなくらい寄り添って歩いていた。

あなたは、このまま歩き続けられたらいいのに…
そんな気持ちを胸の奥で隠しながら、小さく息を吸う。
(なまえ)
あなた
…着いちゃったね
玄関前で立ち止まると、マークも名残惜しそうに足を止めた。
マーク
マーク
うん。でも――
彼があなたの方を向く。
マーク
マーク
まだ帰りたくない。
その言葉が夜気の中で溶けてしまうほど静かで、
でもどこまでも真っ直ぐだった。

あなたは思わず目をそらす。
(なまえ)
あなた
そんなこと言わないでよ…
なんか、変な感じになるじゃん…
マークの影がひとつ、近づいてくる。
玄関灯の明かりが二人の距離を照らす。
マーク
マーク
変な感じって、どんな?
その声は低くて、ほんの少し笑っている。
(なまえ)
あなた
……胸が落ち着かなくなる…とか
あなた がそう言うと、マークは一瞬だけ驚いたように目を見開き、
次の瞬間、少し照れたように笑った。
マーク
マーク
それ、俺のせい?笑
あなた は小さく頷くしかなかった。

マークはその仕草をじっと見つめ、
ゆっくりと近づき、手を伸ば――しかけて、止めた。
マーク
マーク
触れたら、我慢できなくなりそうだから。
息が止まる。

沈黙が、ふたりの間を甘く満たした。

マークは視線を落とし、少しだけ身を寄せる。
マーク
マーク
あなた、言ったよね。…俺、もう逃げないって。
そう言って、彼はそっとあなたの頬に触れた。
指先は震えているのに、優しさはまっすぐ。

あなたの心臓が一気に跳ね上がる。
マーク
マーク
今日は帰るよ。ちゃんと。
…でも。
彼は手を離しながら、名残惜しそうに目を細めた。
マーク
マーク
次は、もう少し長く一緒にいたい。
玄関前の空気が、一瞬で甘くなる。

あなたが声を出せずにいると、
マークはふっと笑い、軽く頭に手を置いた。
マーク
マーク
じゃあ…おやすみ、あなた
その手つきは優しいくせに、心をざわつかせる。

あなたが小さく返す。
(なまえ)
あなた
…おやすみ。
別れ際、ほんの数秒。
2人ともその場を離れられなかった。

最後にマークがもう一度だけ言う。
マーク
マーク
また明日…
ちゃんと会いに行くから。
そうしてようやく、マークは歩き出した。

あなたは胸の奥を押さえながら、
消えていく背中をずっと目で追っていた。

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