撮影の後片づけが終わった頃、スタジオの外はすっかり夜の気配に包まれていた。
スタッフが次々と帰っていく中、あなたはバッグを肩にかけ、静かに門の方へ歩き出す。
その背中を追うように、ふいに名前が呼ばれた。
振り向くと、マーク。
ライトに照らされた横顔は、昼間よりもずっと柔らかくて、少し照れているみたいだった。
あなた は瞬間、心臓が跳ねた。
昨日、あんなふうに想いを告げられて――
まだ胸の奥がじんじんしているのに。
その声の低さに、また胸が熱くなる。
2人で歩き始めると、街灯の光が道に並んで、影がゆっくり寄ったり離れたりした。
あなたは少し距離を空けて歩こうとしていた。
でも。
す…っと、マークの指が触れた。
触れただけのはずなのに、手首が熱くなる。
あなたは抵抗できず、彼の近くへ寄る。
歩幅を合わせるように、マークがほんの少し歩く速度を落とした。触れただけのはずなのに、手首が熱くなる。
あなたは抵抗できず、彼の近くへ寄る。
歩幅を合わせるように、マークがほんの少し歩く速度を落とした。
マークがぽつりと言う。
あなたの心臓が跳ね上がる。
あなたは言葉が出ない。
横を見るだけで、胸が苦しいほどに甘い。
そんな彼女の様子を横目で見て、マークはふっと息を漏らすように笑った。
夜風が頬を撫でる。
だけど体はどんどん熱を帯びていく。
あなたは勇気を出して言った。
歩みを止めて、マークが立ち止まる。
真正面から言われて、息が止まった。
彼は少し照れたように目をそらし――でも、声は低く甘い。
あなたの心臓が一気に高鳴る。
家の前まであと数分。
でも、この帰り道が終わってほしくないと思うほど、空気は甘かった。
マークは歩き出しながら、もう一度小さく言った。
そっと触れられた指が、また絡む。
――
夜道は静かなのに、ふたりの心音だけが、やけに響いていた。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。