しばしの沈黙。
しかし、その沈黙は意味がある。
こんなに小さい男の子が、嫌われている存在の私になにかを伝えようとしているのだ。
天井から落ちた(落とされた)時、きり丸くんとは再会を果たしたがいい顔はしてなかったと思う。
盗み聞きしてた時、怖いって言ってたし。
俯いていたきり丸くんがぽつりぽつりと話し始めた。
ようやく絞り出た声。
まだ何か言いたそうに考え込んでいた。
こういう時、どういう声掛けをすればいいか分からない。ましてや、私(天女)の存在自体がこの子にとっての地雷なのだから間違った選択はできない。
きり丸くんは俯いたまま動かなくなった。
どういう基準で目をつけられてるのかは知らないが、運が悪かったとしか言いようがないのだろうか。
前回に限らず他の天女にも酷い扱いをされれば嫌われるのは必然だと思う。
あなたは優しく微笑みかけた。
きり丸side
今までの天女様とは違う。
なんとなくだが、自分に微笑んだ姿を見てそう思った。
肯定もせず否定もしない。話を聞いて受容する。
それだけでも心地よかった。
俺は話を続けた。
そう言うと目の前の天女様は少し目を見開いたが、すぐに話を聞く姿勢に戻った。
隣にいた乱太郎が悲しそうな顔を向ける。
俺は天女様に向き直った。
友達にも話すような話題ではない。にも関わらず、なぜこの話をしようと思ったか自分でも分からない。
どんな答えを求めていたのか定かではなかった。
天女様はゆっくり目を閉じ、意を決したように話し始めた。
隣の乱太郎も驚いたのか目を見開いていた。
俺は言葉が出なかった。
初めて会った時、そんな暗い過去を持ってるなんて思いもしなかったから。
今までの天女様も恵まれて育ったような人達ばかりだったから、良い時代から来たんだなと思っていた。
目の前の天女様は力なく微笑んだ。
想定外の答えで唖然とした。
泣きそうになったけど、何とかこらえた。
乱太郎にも目の前の天女様にも心配かけたくなかったから。
天女様は、あはは...と頬を掻きながら困ったように笑った。
わくわくした顔で乱太郎は俺の顔を覗き込んだ。
正直、聞きたい。
同じ境遇だからだろうか。
天女様は困ったように考え込んだ。
天女様は決心して、過去の事を語り始めた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。