またバレないように部屋を抜け出した。
ここ最近はほぼ毎日同じように部屋を
抜け出して資料を見ているからか、
もうバレないかというドキドキも消えて
そそくさと移動することに慣れてきていた。
どうせ誰もいないだろうが、一応
そう一声掛けてから部屋に入る。
またまた古い資料を読み漁っていると、
目に止まる頁があった。
日本昔話の元になったものが多い
とされているものが何故ここに、
そう思い開いてみれば、世間一般では
全く見たことのない内容ばかりであった。
しかも都合よく全ての昔の言葉遣いが治されている。
パラパラと捲っていくと、目に止まる
頁を見つけ、つい読み込んでしまった。
【 最期を告げし優しき声 】
人 が 関 わ れ ぬ 天 界 に は 、 天 使 が い る 。
ど れ だ け 人 だ と 思 い 込 ん で い て も 、 天 界 に 関 わ れ る と い う こ と は 人 な ら ざ る も の な の だ 。
人 な ら ざ る も の で あ れ ば 、 妖 、怪 獣 、天 使 、神 、ど の よ う な 種 族 だ っ て 関 わ れ る 。
そ れ が 悪 で あ っ て も 、善 で あ っ て も だ 。
そ れ に よ っ て 、天 界 が 穢 れ る こ と が 何 千 年 に一 度 あ る 。
た だ 、美 し き 容 姿 を 持 ち 神 に も 並 ぶ 力 を 持 つ も の が 、毎 回 そ れ を 鎮 め る の だ 。
そ の 天 の 者 は 、優 し き 声 を し て い る そ う で 、 死 者 や 人 な ら ざ る も の に 優 し き 声 で " 最期 " を伝 え る の だ 。
た だ 、そ の 天 の 者 す ら も 鎮 め き れ ぬ 怪 獣 が 、人 の 蔓 延 る 世 へ と 溢 れ 出 る 。
そ れ が 近 頃 の 日 本 だ 。
途轍もなく重要な話でありなからも
難しすぎて頭を唸らせていると、
不意に風を切る音が聞こえてくる。
試しに音の出る方向へと向かって
いくと、そこでは保科副隊長が
訓練をしていた。
少し覗き見をしていると、瞬時に
そう低い声で言われ萎縮しながらも
声を上げて近寄る。
そうすると、一瞬でさっきの雰囲気は
消え去り、いつもの副隊長に戻った。
そう言って二人して部屋に戻っていくのであった。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!