出された食べ物は
今まで食べたことの無いくらいの
ご馳走だった。
どれを食べても
何を食べても美味しかった。
頬が落ちてしまうほど。
それでも、
そこまで良くしてくれる理由は
分からなかった。
ご飯も頂き、
風呂にも入れされてもらった。
洋風な建物には似合わない、
和がメインとなった温泉は
少し不釣り合いだと感じてしまった。
こさめ、と名乗る男性は
どこか未亡人みを感じる男性だった。
それが儚いとか、美しいとかなら
まだ全然良かった。
こさめさんは
そんなものじゃなかった。
彼の前で気を少しでも抜いてしまえば
この世で生きる事はできないかもしれない、
そう考えてしまうほど
彼は恐ろしかった。
…らんさん。
見たことも、話したこともないけど
みんなにとって
らんさんは
かけがえのないものだったんだろうな
……自分なら、どうするだろう
大切な人が死んで
自分だけが生き残った時
…どうしてやるのが正解なのだろうか













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!