第55話

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2026/07/10 15:00 更新


「ねぇ。」



ある夜。

仁人くんの部屋。


いつものようにソファに並んで座っていると、仁人くんがスマホを置いた。



「ツアーファイナル前にさ。」


「うん?」


「頑張ろう会しない?」


「頑張ろう会?」


「メンバーと。」

「あと、スタッフさんも少し呼んで。」



仁人くんらしいと思った。

自分たちだけじゃなく、支えてくれている人たちへの感謝を忘れない。



「いつも助けてもらってるから。」

「みんなでご飯食べたいなって。」



そして。



「あなたも来てほしい。」



その言葉に胸が温かくなる。



「いいの?」


「もちろん。」



迷いなく返ってくる。



「最近、ゆっくりみんなで集まれてないし。」

「俺も久しぶりに一緒に行きたい。」



その笑顔に、自然と頷いていた。



「行く。」


「よかった。」



仁人くんは嬉しそうに笑った。










________


当日。

お店に着くと、すでにメンバーが揃っていた。



「あなたちゃん久しぶり!」



舜太くんが手を振る。



「最近ライブ以外で会ってないから寂しかった。」


「ライブでは会ってるじゃないですか。」


「それはファンとしてやん!」



その返しに笑ってしまう。

変わらない。


舜太くんも。

みんなも。

この空気が好きだった。



「相変わらず舜太推しなんだ。」


柔太朗くんが笑う。


「そこ変わらないね。」


「変わらないです。」



即答すると、

少し離れたところで聞いていた仁人くんが複雑そうな顔をする。



「……そこは変わってほしいんだけど。」


「まだ言ってる。」



メンバー全員が笑う。

その光景に、私も笑った。









________


少し遅れて、スタッフさんたちが合流する。



そして。

その中に、あの女性スタッフさんがいた。

すぐに分かった。


グループチャットの写真で見た人。

公式SNSで何度も見かけた人。



「初めまして。」



女性スタッフさんが笑う。



「仁人くんの彼女さんですよね?」


「あ、はい。」


「よろしくお願いします。」


「こちらこそ。」



すると。



「仁人くんからよく聞いてます。」



その言葉に少し驚く。



「え?」


「優しい彼女さんだって。」

「いつも支えてもらってるって話してました。」



嬉しい。

本当なら、嬉しいはずだった。


仁人くんが自分のことを話してくれている。

大切に思ってくれている証拠。

なのに。



「……。」



なぜか胸の奥に小さな違和感が残った。



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