第31話

30話🎀
2,632
2025/09/13 22:27 更新





さくや
さくや
俺が今も好きって言ったら?













(なまえ)
あなた
…………え?




さくちゃんの口から
有り得ない言葉が飛び出した。

私はびっくりしてさくちゃんの顔を見つめる。

その顔は真剣で、私の目を掴んで離さない。

時間がスローモーションみたいだった。

さくちゃんが今も私のことを好きだったら…?




(なまえ)
あなた
……あ、の…
さくや
さくや
……ふっ笑
(なまえ)
あなた
…?
さくや
さくや
なんてねー
(なまえ)
あなた
…え、
さくや
さくや
言ってみただけ




真剣だったさくちゃんの顔は、
一瞬にして柔らかな笑顔に変わる。

冗談だったってことだよね

あの真剣な表情が嘘とは
思えなかったけど……

まあ、期待しすぎもよくない
今でも好きなんてこと有り得ないし




さくや
さくや
あなたって彼氏いる?
(なまえ)
あなた
……え、いるように見える?
さくや
さくや
え……モテるでしょ
(なまえ)
あなた
モテないよ笑



さくちゃんがめっちゃ驚いてるけど

彼氏?いるわけない

3ヶ月前くらいまではいたけど
オタクすぎて振られたんだよね

だからさくちゃん推してるうちは
彼氏なんて作りません、決めました




さくや
さくや
いたら泊まらないか
(なまえ)
あなた
そうそう
さくや
さくや
あ、じゃあ元彼いる?
(なまえ)
あなた
………いるよ笑




その3ヶ月前まで付き合ってた人とは、
1年半くらい続いた。

その人が初彼だったのに
私がオタクなばっかりに……




さくや
さくや
え、何人?
(なまえ)
あなた
1人だけ…




さくちゃんが興味津々で
めちゃくちゃ聞いてくる。

元彼のことより
普通にさくちゃんと私の会話しようよ〜(?)




さくや
さくや
どんくらい付き合ってたの
(なまえ)
あなた
1年半?くらい
さくや
さくや
長……
(なまえ)
あなた
…そうかな




1年半って長い?

長いか

桃華に聞いたんだけど

高校生で1年続いてたら
なかなからしいよ(どこ情報)




さくや
さくや
なんで別れたの





……遂に来たか

この質問が




(なまえ)
あなた
さくちゃん好きすぎて振られた
さくや
さくや
……ん?
(なまえ)
あなた
私がオタクすぎて限界だったんだって
さくや
さくや
…え、そんな理由?
(なまえ)
あなた
え、そう!!有り得ないよね!?
そんな理由!?だよねまじで……
さくや
さくや
ぅお、お、うん
(なまえ)
あなた




……やばい、
私も別れ告げられた時

「そんな理由?」って思っちゃったから
つい前のめりになって言っちゃった。

恥ずかしい




(なまえ)
あなた
…ごめんごめん…そう、そんな理由で…
さくや
さくや
……




私があまりにもハイテンションになっちゃったから
なんだこいつ?って思ってそう

さくちゃんほんとごめん

ポーカーフェイスを忘れるな。あなた




さくや
さくや
だからさ、なんで素を隠すの?
(なまえ)
あなた
…素?
さくや
さくや
そう
さくや
さくや
さっきの素でしょ
(なまえ)
あなた
さっきの……




前のめりになってたやつ!?

たしかに、あれは素の反応だけど……

いきなり素出しても、って感じじゃない?




(なまえ)
あなた
……さくちゃんは、嫌じゃないの?
あんなテンションで来られたら…笑
さくや
さくや
嫌じゃないよ笑
さくや
さくや
あなたが気遣って話すの疲れそうだし
(なまえ)
あなた
……




さくちゃんがそこまで言うなら、

素っていうか、自然体で話せるように
頑張ろうかな

何回も自然でいいよとか
気遣わなくていいよとか
言ってくれてるし

その気持ちに応えないのは
オタクとしてどうなの👈🏻?




さくや
さくや
てかさ…笑
(なまえ)
あなた
ん?
さくや
さくや
そんな理由で振る奴いるんだって思った
(なまえ)
あなた
……え、だよね
(なまえ)
あなた
まじであり得ないでしょ、別れる半年以上前からさくちゃんのこと推してたの知ってたのにオタクすぎるのが嫌ならそのタイミングで言ってくれればいいよね?1年はまだしも半年まじで無駄だった
さくや
さくや
そうなるよな
(なまえ)
あなた
……あ、ごめん、めっちゃ長々と
さくや
さくや
いいよ笑




だって1年半も付き合ってたらさ
それなりの喧嘩も話し合いで解決するけど

まさかオタクが理由で
別れるなんて思ってなかった

私はちゃんと好きだったし
もちろんショックだったけど……




さくや
さくや
まだ好き?
(なまえ)
あなた
さすがにもう好きじゃないよ
さくや
さくや
……よかった
(なまえ)
あなた
……なんて?
さくや
さくや
ううん
(なまえ)
あなた
……





……ごめん、さくちゃん

はっきりと聞こえた

「よかった」って

これがどういう意味かは
なんとなく想像できる。

でも、勝手に期待して
勝手に落ち込みたくない。

だから触れたくないし
聞かなかったことにした。




さくや
さくや
着いたよ
(なまえ)
あなた
…あ、ほんとだ




話していると
あっという間に駅に着く。

……もう、しばらく会えないんだね

寂しいけど、アイドルだもん
当たり前だよね




さくや
さくや
…あなた……?
(なまえ)
あなた
…?
さくや
さくや
なんで泣いてるの
(なまえ)
あなた
……え、嘘




ほっぺに手を触れると、
想像以上の涙が出ていた。

流れるように出ていたから
全く気づかなかった。





(なまえ)
あなた
あ、ごめん、…なんでもない……
さくや
さくや
………
さくや
さくや
…なんでもなかったら
泣かなくない?笑
(なまえ)
あなた
…うん……




でも、寂しいとか

そんな彼女みたいなこと
言えないよ、恥ずかしいし

顔を上げると、優しい目で
見つめてくれてるさくちゃんがいた。

私は止まらない涙を
止めるのに必死で。





(なまえ)
あなた
さくちゃん、……
さくや
さくや
ん?
(なまえ)
あなた
…寂しいの、……
さくや
さくや
……
さくや
さくや
俺も
(なまえ)
あなた
え?
さくや
さくや
寂しい




さくちゃんも寂しい、って
思ってくれてたんだ

私だけかと思ってた

改めてお互い寂しいってわかると、
なんか恥ずかしい……





(なまえ)
あなた
……そろそろ、行くね私、
(なまえ)
あなた
応援してるね、頑張って





また溢れそうな涙を堪えて、
さくちゃんから顔を背けて歩き出す。




さくや
さくや
待って、あなた
(なまえ)
あなた
ん?






















(なまえ)
あなた
……!?!??!!?
さくや
さくや
……気をつけて。またね




そう言ってさくちゃんは
お店の方向へと帰る。

……まって

まって

まって

今の、何






(なまえ)
あなた
……さくちゃんに、ハグ、された







さくやside




さくや
さくや
あ、じゃあ元彼いる?
You
You
………いるよ笑
さくや
さくや
え、何人?
You
You
1人だけ…




なんとなく聞いたあなたへの質問。

…そりゃあ、いないわけない、わかってた

自分で色々質問しといて、
その度になんかモヤモヤする

1年半って相当だし
相当安定してたんだろうなー

でも、別れた理由が「俺」なのが
ちょっとだけ嬉しかった







さくや
さくや
着いたよ
You
You
…あ、ほんとだ




時間ってあまりにも残酷で

特にあなたといるときは
もっと短く感じる気がする

本当はもうちょっと話してたかった

でも、あなたのお母さん
めっちゃ怒ってるらしいから無理だった

ふとあなたを見ると、
大きな目からボロボロと涙を零していた。

本人は気づいてないのか、
カバンから定期を探している。




さくや
さくや
…りょうか……?
You
You
…?




顔をあげたあなたは、
やっぱり気づいてないみたいで

「?」の顔のまま。

こんなに涙流してて
気づかないことある?

さっきも気づかないまま
泣いてたけど(25話参照




さくや
さくや
なんで泣いてるの
You
You
……え、嘘




やっぱり気づいてなかったんだ

そう言われたあなたは、
焦って涙を拭う。




You
You
あ、ごめん、…なんでもない……
さくや
さくや
………
さくや
さくや
…なんでもなかったら
泣かなくない?笑
You
You
…うん……




あなたは泣いてるのを自覚してからか、
さっきよりもっと涙が溢れていた。

泣いてるのが可愛くて、すぐにでも
抱きしめたかった

でも今ハグしても
あなたを困らせるだけだから
俺にはできなかった




You
You
さくちゃん、……
さくや
さくや
ん?
You
You
…寂しいの、……




そう言いながら見上げてきたあなた。

俺と同じ気持ちだったのが
嬉しかったし

何よりも

可愛くてしょうがなかった





さくや
さくや
……
さくや
さくや
俺も
You
You
え?
さくや
さくや
寂しい





俺も寂しいと伝えると、

あなたは恥ずかしそうに
顔を斜め下に逸らす。

逸らしたと思ったら
またこっちを見て、また逸らす。

その仕草が可愛くて
自然と笑ってしまう





You
You
……そろそろ、行くね私、
You
You
応援してるね、頑張って




やっと涙が止まったからか、
少し寂しげな笑みでそう言う。

駅の方に体を向けて歩き始めるあなた。

……もう、しばらく会えない

どうにでもなればいいと思った




さくや
さくや
待って、あなた
You
You
ん?



振り向いたあなたは、
また涙が溢れていた。

俺は振り向いたあなたを
引き寄せて抱きしめた。

自分でも大胆な行動に出たと思う

あなたも動揺してるのか、
声も出てないし手は下ろしたまま。

3秒くらい経って離すと、
自分がハグした事実が恥ずすぎて

あなたの顔も見れずに、






さくや
さくや
……気をつけて。またね




そう言ってお店に引き返した。

自分がした行動なのに
恥ずかしがるの、まじか

俺、やっぱりガキか








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