その日の天気予報は晴れだった。
いつも通り学校に登校し、授業を受け、友達と騒ぐ。
あっという間に放課後になり、教室の窓から空を覗くと小雨が降っていた。彼氏である刀也は部活があると言っていたので、今日は1人で下校する。
まあまだ走って帰ればそこまで濡れることはないかな…。そう思い、急いで鞄を持ち帰路に着こうとした時、
返事をする前にドサッと机にファイル達を置き先生は去っていった。
積まれたファイルを持つため鞄をもう一度自分の机に置く。
ファイル自体は軽いが想像していたより嵩張っており、前が見えない中よたよたと教室を出ようとした時、何かにぶつかりファイルが滑り落ちていった。
ぶつかったのは刀也の親友である伏見くんだった。刀也との会話ではよく名前が出ており、話したことがないわけではないが、2人で話すのはこれが初めてで少し気まずいな…
ぼーっとしているといつの間にか落としたファイルを拾い集め、私が持っていた分のファイルまで取られてしまった。
そのまま歩いていこうとする彼の背中に思わず、
彼の服を掴んで止めた。
彼はそう言い私にファイルを渡してきた。ただ私が言った半分ではなく、3分の1ほどの量だった。
思わずクスッと笑ってしまった。流石刀也の親友、優しい人だ。
少し砕けた空気になり主に刀也の話をしながら保健室へ向かい、先生にファイルを渡して保健室を出る。
あはは…と苦笑いを浮かべる。
軽い雑談をしながら歩き、教室に到着する。私は鞄を持ち、ガクくんは刀也の机の中に教科書を入れ、そのまま2人で下駄箱に向かう。
外は大雨に変わっていた。
確かにいつ雨が止むかわからない。でも彼氏以外の人と相合傘をして帰るのはなぁ。でも親切心だけなのは今日の行動でもわかってるし…。
悩んでいる間にも雨はどんどん強くなっていく。彼を待たせるのも忍びなくなってきた私は、
声の方はへ振り向くと、そこには部活に行っているはずの刀也が立っていた。
そそくさと逃げるようにガクくんは帰っていった。
残された私達にしばらく沈黙の時間が続く。
この空気に耐えれなくなった私はおずおずと刀也に話しかけた。
思わず涙が出そうになるが、ぐっと唇の噛み締め我慢しようとする。私が逆の立場だった時、きっと私も嫌な気持ちになる。私が、悪い。
顔を見られたくなくて俯く。
腕を掴まれ、人目のない場所に連れて行かれると、ぎゅっと優しく抱きしめられた。
耳元で小さく呟いた彼は普段の彼と違い素直で、小さく見えた。
そっと背中に手を回し抱きしめると、彼は少しビクッとした後、さらに強く抱きしめ返してくれた。
しばらくしてそっと頬に手を添えられ思わず見上げると、優しい温度が私の唇に触れた。
平静を装っているが耳が真っ赤で全然隠せていない彼に思わず微笑む。素直じゃない、天邪鬼で可愛い私の彼氏。
そうして私たちの小さな喧嘩は幕を閉じた。
後日伏見くんには教科書の件も含めて刀也から鉄拳制裁されたとか。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。