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第1話

嫉妬〜剣持〜
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2025/12/19 15:38 更新
その日の天気予報は晴れだった。
いつも通り学校に登校し、授業を受け、友達と騒ぐ。

あっという間に放課後になり、教室の窓から空を覗くと小雨が降っていた。彼氏である刀也は部活があると言っていたので、今日は1人で下校する。
まあまだ走って帰ればそこまで濡れることはないかな…。そう思い、急いで鞄を持ち帰路に着こうとした時、
担任
あなたの名字〜、ちょっとこれ保健室まで持っていっといてくれ。頼んだぞ、保健委員。
あなた
え…。
返事をする前にドサッと机にファイル達を置き先生は去っていった。
あなた
はぁ…しょうがない。
積まれたファイルを持つため鞄をもう一度自分の机に置く。
ファイル自体は軽いが想像していたより嵩張っており、前が見えない中よたよたと教室を出ようとした時、何かにぶつかりファイルが滑り落ちていった。
伏見 ガク
あー!すんませんっ!!ってあなたの名字さん?
あなた
あ…。伏見くん、こっちこそごめんね。
ぶつかったのは刀也の親友である伏見くんだった。刀也との会話ではよく名前が出ており、話したことがないわけではないが、2人で話すのはこれが初めてで少し気まずいな…
伏見 ガク
これどこに持っていくんすか?
ぼーっとしているといつの間にか落としたファイルを拾い集め、私が持っていた分のファイルまで取られてしまった。
あなた
えっと、保健室だけど…。
伏見 ガク
了解っす〜!!
そのまま歩いていこうとする彼の背中に思わず、
あなた
ちょ、ちょっと待って!
伏見 ガク
うおぉっ!?
彼の服を掴んで止めた。
あなた
えっと…その、せめて半分持たせて?伏見くんが全部持っても前が見えないでしょ。危ないよ。
伏見 ガク
うーん…確かにそうっすね!じゃあお願いっす!
彼はそう言い私にファイルを渡してきた。ただ私が言った半分ではなく、3分の1ほどの量だった。
あなた
…半分じゃなくない?
伏見 ガク
いやいや、これが俺の半分っすよ!
思わずクスッと笑ってしまった。流石刀也の親友、優しい人だ。
少し砕けた空気になり主に刀也の話をしながら保健室へ向かい、先生にファイルを渡して保健室を出る。
あなた
ありがとね。そういえば伏見くんはなんでうちのクラスに?
伏見 ガク
いや〜刀也さんに借りた教科書返すの忘れてて。笑
あはは…と苦笑いを浮かべる。
伏見 ガク
てことで刀也さんの机の中に教科書置きに行ってくるっす!
あなた
あ、じゃあ私も鞄置きっぱなしだから一緒に行こう?
伏見 ガク
まじすか、じゃあ行きましょー!
ていうか、ガクでいいっすよ。呼び方。
あなた
ほんと?じゃあガクくんって呼ぶね。
私もあなたの下の名前でいいよ。
伏見 ガク
じゃああなたの下の名前ちゃんって呼びますね。
軽い雑談をしながら歩き、教室に到着する。私は鞄を持ち、ガクくんは刀也の机の中に教科書を入れ、そのまま2人で下駄箱に向かう。
外は大雨に変わっていた。
あなた
うわ〜…。これは流石に帰れないな。
伏見 ガク
あなたの下の名前ちゃん傘ないんすか?
あなた
うん、今日天気予報晴れだったから…。
でも通り雨だと思うし、ちょっと待つことにするよ。
伏見 ガク
天気予報見てるとかめちゃ偉いっすね!
俺は常に置き傘してて…よかったら家まで送って行きましょうか?通り雨なのかわかんないですし!
あなた
うーん…
確かにいつ雨が止むかわからない。でも彼氏以外の人と相合傘をして帰るのはなぁ。でも親切心だけなのは今日の行動でもわかってるし…。

悩んでいる間にも雨はどんどん強くなっていく。彼を待たせるのも忍びなくなってきた私は、
あなた
じゃあガクくんの言葉に甘えようか…
剣持 刀也
は?
声の方はへ振り向くと、そこには部活に行っているはずの刀也が立っていた。
伏見 ガク
あっ刀也さん!彼氏がいるなら大丈夫ですね。
じゃあまた明日〜!
そそくさと逃げるようにガクくんは帰っていった。

残された私達にしばらく沈黙の時間が続く。
この空気に耐えれなくなった私はおずおずと刀也に話しかけた。
あなた
えーっと…部活は?
剣持 刀也
……雨が酷くなりそうなので、帰れる間に帰ろうということでもう解散しました。
あなた
そ、そうなんだ。
剣持 刀也
あなたの下の名前はなんでまだ学校に?
あなた
その、先生に保健委員の仕事を頼まれて…
剣持 刀也
なんでガクくんと一緒にいるんですか?そんなに仲良かったでしたっけ。
あなた
ファイル運び手伝ってくれたの。それだけだよ!
剣持 刀也
で、相合傘して帰ろうと?
あなた
いや、それはガクくんが…
剣持 刀也
あとその名前呼び、やめて欲しいんだけど。
あなた
…ごめんなさい。
思わず涙が出そうになるが、ぐっと唇の噛み締め我慢しようとする。私が逆の立場だった時、きっと私も嫌な気持ちになる。私が、悪い。

顔を見られたくなくて俯く。
剣持 刀也
…あーもう、泣かないでよ。
腕を掴まれ、人目のない場所に連れて行かれると、ぎゅっと優しく抱きしめられた。
剣持 刀也
俺も、怒ってごめん。
…でも、なんか、嫌だった。
耳元で小さく呟いた彼は普段の彼と違い素直で、小さく見えた。
あなた
ううん…。私の方こそごめん。
でも、私が好きなのは刀也だけだよ?伏見くんは私が刀也の彼女だから、親切にしてくれただけ。
剣持 刀也
わかってるよ。ガクくんが下心なんてないことくらい。でもなんかモヤモヤしたんだよ。
あなた
うん、ごめんね。
そっと背中に手を回し抱きしめると、彼は少しビクッとした後、さらに強く抱きしめ返してくれた。
しばらくしてそっと頬に手を添えられ思わず見上げると、優しい温度が私の唇に触れた。
剣持 刀也
…僕も傘持ってるんで、一緒に入って帰ろう。それで許す。
あなた
…ふふっ、もちろんだよ。
剣持 刀也
僕以外の人ともうしないでよ。
あなた
うん、約束ね。
平静を装っているが耳が真っ赤で全然隠せていない彼に思わず微笑む。素直じゃない、天邪鬼で可愛い私の彼氏。
そうして私たちの小さな喧嘩は幕を閉じた。


あなた
刀也は素直な時俺って言うよね。
剣持 刀也
!?!?僕!僕僕ぼくぼくぅぅー!!!!



後日伏見くんには教科書の件も含めて刀也から鉄拳制裁されたとか。

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