私は大きな鞄を持ってお屋敷の前で止まった。
今日からこの大きな祖母の家に過ごす事になる。
私はワクワクしながら大きな扉を開ける。
その瞬間私の顔面にクッションが当たった。
クッションを拾って私の前に立つ背の高い男性。
クッションの持つ男性の後ろから顔を覗かせるまた背の高い男性…。
さっきの2人を押し退け、私をある部屋に案内するとても背の高い…羊?!
よく見ると頭から羊のような角が生えている……。
『あら。よく来たね!見ないうちに大きくなって…大変だったでしょ?』
私はおばあちゃんと抱きしめあった。
『おぉ、圭と春馬に会ったのか!彼らは魔界の生物なんだ。』
おばあちゃんの言葉に私は首を傾げる。
『詳しくはこの城田に聞きなさい。面倒も見てくれる。私はしばらくここを空けるから、宜しく頼むよ!』
そう言っておばあちゃんは私を城田という男の人に押し付けた。
私をゆっくりエスコートしてくれる城田さん。
大きなリビングに向かうとさっきより人数が増えていた。
そう言って私をイスに座らせた。
城田さんに聞こうとした時。既に座っていた人が割り込んで来た。
悪魔……?
爽やかに微笑むこの人も悪魔……?
私の前に美味しそうな料理を置いてくれる優しいこの人の背中には大きくて綺麗な羽がついていた。
本から少し顔を出して挨拶する男の人も…悪魔?ハーフ…?
少し恥ずかしそうに自己紹介した男の人の狐の耳、可愛い…
黒い手袋が特徴的な男の人は銀色の耳が生えた男の人も紹介した。
狼の男の人は1度もこちらを見なかった。
城田さんもイスに座ると、手を合わせて皆食べ始めた。
そう言ってケロッと皆食べ終え、部屋に戻って行く。
残ってテレビを見ている人も居た。
テーブルに残っていたのは瀬戸くんと城田さん、岡田さん。
テレビの前に居たのは春馬さんと田中さん。
その時瀬戸くんは紙を取り出し私の前に座る。
岡田さんも瀬戸さんも首を傾げる。
ウキウキしながらお皿を片付け始める瀬戸くん。
その時城田さんと目が合った。
そして、私の顎を掴む。
その時目の前の城田さんは黒い毛に包まれ羊に変身した。
その時城田の手を掴んだのは岡田くん。
そう言って城田さんは元の姿に戻って手を離す。
だからあの時1度も見てくれなかったんだ。
私は立ち上がって皆に向かって言った。
皆目を丸くして私を見た。
と皆私の側にやって来て周りを囲んだ。
その間から手が伸びてきて私の腕を掴んだ城田さん。
そのまま彼は跪き頭を下げる。
あたふたしていたその時…
あとの3人も部屋から出てきた。
城田さんは頭をあげて私の手を離した。
綺麗な顔…。
皆ワクワクと話している。
あれ…?城田さんの姿が無い。
私はリビングから出て長い廊下を走った。
どこだろう……。
中庭のベンチに腰をかける城田さんの姿を見つけた。
私が名前を呼ぶと慌てて立ち上がる城田さん。
私はさっきの敬語が抜けた城田さんを見て思った。
この人何か抱えてる。人間に対して何か嫌な事があると思った。
私は城田さんと座り直して城田さんの昔話を聞いた……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。