帰り支度を終えて外に出るともう外は真っ暗。
「あなた」
「優吾。お疲れ様」
「ありがとう…。どこか行く?」
「うん…ゆっくり話せるところがいいかな」
よく2人で行っていた、夜景が綺麗な丘に向かうことにした。
「バイクでいい?」
「え、ヘルメットあるの?」
「あぁ、うん。いつも入れてる」
「そっか。じゃあ、お願いします」
後ろにあなたを乗せるのは1年ぶり。
今まで、あなたしか乗せたことのない、バイクの後ろ。
あなたのための、ヘルメット。
久しぶりに背中に温もりを感じながら、バイクを走らせる。
お互い無言で、風を感じる時間。
あなたは、なんの話があって来たんだろう。
見当もつかないけど、俺の気持ちは一年前から何も変わっていない。
せっかくのチャンスだ。
あの時言えなかったことを言おう。
俺はあなたに伝える言葉を頭の中で整理した。
気づけば綺麗な夜景が目に映っていた。
「わー…久しぶりにきたけど、やっぱり何回みても綺麗だね…」
バイクから降りて少し歩く。
2人の定位置だった、ベンチに並んで座る。
少しの沈黙。
先に沈黙を破ったのは、あなただった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。