第54話

調査③-14
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2026/02/14 09:00 更新
???
「……て、……さんは……………………なんて…………ありえない……ですか」
 ……暗闇の中。どこかから声が聞こえる。何だろう、そう思うのに瞼が重くて眠くて、動くの億劫で目が開かない。そもそも、自分は何をしていたんだっけ。知らない場所に集められて、皆といきなり幽霊の正体を暴けって言われて……そうだ、ひなにいさんと一緒に理科室で探索していたら急に目の前が真っ暗なになったことに驚いて椅子から足を滑らせて……!一気に頭の中がクリアになる。と、同時に視界が晴れて、そこにいたのは青い顔をしたひなにいさんだった。どうしたんですか、と声をかけようとして気が付く―――声が出ない、いや、身体が動かない?
rk
で、でも別に気が付かなかっただけで俺たちのこと抜かしてっただけじゃ
 ひなにいさんは硬い表情でそんなことを言ってくる。……どういうこと?唐突すぎる話についていけないと思っていると、全く動かなかった口が勝手に言葉を生み出し始めた。
sr
おれたちを?あんな狭い廊下で、ですか?
 聞こえた声は間違いなく自分のもので。思わず口を押さえようとして、それすら出来なくて。混乱する頭の中に再び自分以外の自分の声が響き渡った。
sr
『あれ、起きちゃいましたか?でも、もう遅いですよ』
sr
『もう完璧に真似できますから!』
 ドクン、と心臓が鼓動する。……いる、が。自分の中に。
sr
ずっと考えてたんです。おれたちが合流したメテヲさんって何なんだろうって!……あれって、本当にメテヲさんなんですか?
rk
れ、れいまりさ
sr
そもそも、メテヲさん車の中で最初に起きたって言ってたけど、それって誰もみてませんよね。そうだ、メテヲさんウパさんのことNPCとかいってたけど、自分こそそうだったんじゃないんですか!?さいしょっからっ……
 勝手に動く口。それはメテヲさんを疑う言葉を生み出していく。
sr
(やめてっ……やめてよ!!!なんでこんなこと言ってるのさ!?)
 そう思うと、また自分じゃない自分の声が頭の中に響いてくる。
sr
『どうして?だってずっと疑ってたんでしょ?ぜんぶみえちゃったからわかってるよ』
 自分の中にいるナニカはせせら笑うように言う。……確かに、ずっと疑念があって。その不安を相談したくて。でも、こんな形でひなにいさんに伝えるつもりはなかったのに!
 自分の動揺と呼応するように激しく叫ぶ。それは紛れもなく本音の一部でもあって、溢れる言葉に胸が苦しくなる。でも、ひなにいさんはそんな自分を優しく支え、言葉をくれた。それに少しだけ心が落ち着く。すると、少しだけナニカの動きをおさえることができた感覚があった。それはナニカも感じたらしい。一旦落ち着きを取り戻したかのように振舞う。
sr
『あーあ。抵抗してくるんだ。これ以上言えないじゃん』
sr
(もう、やめてよ……)
sr
『うるさいなあ、ちゃんとお礼言ったでしょ。あれだってお前の気持ち通りにしてあげたじゃん』
sr
(……どうして、こんなことするんだよ)
sr
『お前もいいけど、やっぱりあっちの方がいいんだよね。こうやって動揺させれば意識があっても乗り移れるからさ~♡』
 微妙に成り立たない会話が繰り返される。……そんな理由で、ひなにいさんに言ったのか。だけど、それが分かったところでどうすることもできず、おれの身体を使ってナニカはひなにいさんと一緒に行動を続けた。
 そして、結局完全に身体の主導権を取り戻すことはできないまま、ナニカは呪いの鏡を見つけてしまって。読み取った効果のうち、わざと代償だけを伝えないでメリットだけを教えて、ひなにいさんが使ったタイミングで正体を明かして……
up
……い!しっかりしろ!!レイマリ!!!
 鈴が鳴るように高い声が飛び込んでくる。同時に身体の感覚が戻ってきた。ぼやけていた視界が晴れ、目の前には青が揺れる―――ウパさんだ。
sr
ウパ、さん……?
 久しぶりに自分の意志で声を出した気がする。その声に、ウパさんはほっとした様に体の力を抜いた。
 もみくちゃになりながらなだれ込むように車内に飛び込んだオレたち。まず最初にしたのは、様子のおかしいレイマリに注射器を打ち込むことだった。……しばらくすると、焦点のあった瞳とはっきりとした声で反応が返ってきた。
up
オレたちのことわかるか?
sr
え、あはい……あれ、ここって……
mt
最初の車の中だよ
 戸惑いを隠せないレイマリにメテヲが声をかける。レイマリはビクりと肩を震わせ、メテヲの方をみた。
sr
あ……メテヲ、さん……ひなにいさんは?
up
……レイマリ、ヒナニキは幽霊に憑りつかれた。オレたちがきたときは倒れたお前と二人でいた。何があったか、わかるか?
 そう問いかけると、レイマリはサッと顔を青くする。そしてぽつぽつと話し出した。
up
……ようするに、気絶したレイマリさんの身体を最初は乗っ取ってた。で、わざと呪いのアイテムを触らせてひなにいさんに憑りついた、と
mt
で、呪いのアイテムの鏡は使うとSAN値が減る……それが幽霊の狙いだったんだろうね
up
SAN値が減ると発狂するだけじゃないのかよ……クソっ
sr
お、おれのせいなんです……おれのせいでひなにいさんが、あんなに、助けてくれたのにっ……
 そう言ってレイマリは震えながら体育座りになって縮こまっている。その両手で掴まれた服は力を込めすぎてしわくちゃになってしまっていた。
up
……そんなにレイマリのせいってだけじゃないだろ
sr
でも、でも……
up
何か知ってるん?
sr
そ、それは……
up
っなぁ!レイマリまで隠し事はやめろよ!!
 レイマリは何かを言いかけて、でもそのまま止めてしまう。……今はどんな情報でも欲しい。焦りから思わず語気が強くなってしまった。そんな自分を遮ったのは、メテヲの言葉だった。
mt
……ウパさん、今はやめようよ
 はっきりとした声。反射的にふたりそろってそちらへ視線を向ける。……いつの間にか落ち着きを取り戻したメテヲさんは、真剣な表情でたっていたこちらを見ていた。

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