ぐいぐいと手を引くウパさんに連れられ、向かった先は地図が映し出されたモニターだった。次も建物だろうか、見取り図のような地図が表示されている。2階はないらしい。平面上に1つの図が表示されている。いわゆる平屋、なのだろうか。中心に中庭があり、それを囲むように廊下がある。下部には横に広がるように通路と、多くの部屋。……1階だけで比べてみたら、前回の学校と同じくらいの広さだろうか。
メテヲさんは顔を歪ませて、嫌そうに指をさす。地図の右上、そこには小さな文字で『サニー メドウズ精神病院』と書かれていた。
ウパさんが小さく背伸びをしながら地図を眺めている。それでも見にくかったのか、ぴょん、と小さく跳ねた。ふわりとスカートがふくらんで落ちる。
ウパさんの声に合わせて、改めて地図を見る。多くの部屋は病室らしい。皆の言う通り、待合室はそこまで大きくないし、きっと入院患者に面会に来た人向けなんだろう。キッチンやリネン室、談話室や浴室といった部屋は、まるでそこがどこかの学校の寮の一角であると錯覚してしまいそうになる。
そんな話をしながら一通り地図を見る。広さは、前回と同じくらい。一見危険には見えないけど胡散臭さは倍増。とりあえずそんなところだろうか。どっちみち、行ってみないとどうしようもない、かも。それは皆同じ気持ちだったらしい。誰が言い出したかはわからないけれど、自然と持ち物を選ぶモニターの前まで移動していた。……だけど、そこで一つ問題が発生する。
心配そうに見つめるひなにさん。その目線の先にはモニターに向かうメテヲさんがいる。メテヲさんはしばらく何とかしようと動いていたけれど、諦めたように振り返り、眉を下げて笑った。
メテヲさんの言葉に、ひなにいさんはまるで自分のことのように眉を下げる。ウパさんにも状況を伝えると、正反対にむっと目をつりあげた。
ふと、モニターの横に何かが置いてあることに気が付く。……いつの間に。3つの丸いガラス球がこちらを向いている。その中には見慣れた電球。ただ、違うのは先ほどまでと違い持ち手のかわりにベルトのようなものが付属しているということで。
ひなにいさんが手に取ってそれを頭に近づける。そのままベルト状になっている部分をぐるりとおでこの上あたりに巻き付けた。それは丁度良い長さで、パチンと留め具をつければライトが正面を向いた状態で固定される。側面のスイッチを押すとそれなりの光量が生み出された。
言いながらそれぞれヘッドライトを手に取る。わかってはいたけれど、色々とイレギュラーばかりで。この先大丈夫なのかな。またこみ上げてきた不安を、意味もなく喉を鳴らして呑み込んだ。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。