第59話

調査③-19
166
2026/04/06 09:00 更新
 目の前で起きた出来事がまだ消化しきれていない。ひなにいさんを乗っ取ったナニカはメテヲさんのおかげで離れて、でももう一体の幽霊が現れて、でもなんか机がそれを吹き飛ばして。そもそもメテヲさんは瞬間移動?するしかと思えばいなくなっちゃったし。普段プレイしているゲームだったらあまりの怒涛の展開にレビューで文句をつけられているかもしれない。……なんて、現実逃避をしても状況は変わらない。ウパさんはさっさと早く切り替えて部屋の探索を始めてしまった。自分はひなにいさんの様子を見ているということで留守番だ。でも……
sr
(……何もしないって言うのも落ち着かないや)
 それに、こうやってぼんやりとしているとどうしても悪いことばかり考えてしまう。ひなにいさんは大丈夫なのかとか、メテヲさんはどこ行っちゃったんだろうとか。……自分の不甲斐なさとか。じわ、と涙が出そうになって慌てて首を振る。
sr
(泣いてる場合なんかじゃない!……そうだ、動かなくてもできること、あるじゃん)
 思いついたのはこのゲームの目的、幽霊の特定だ。新しい手掛かりをつかむことは難しいかもしれないけれど、せめてわかっていることを整理してウパさんがメテヲさんを見つけてくるまでに正体を明かせれば、皆の役に立てたと言えるんじゃないだろうか。
 思い立ったが吉日と、早速手帳を手元に呼び出す。ひなにいさんの横に座って今わかっていることをつらつらと書き始めた。
sr
(っていってもろくに調査できなかったからなあ……)
 残念ながら、こちら側で分かったことはほとんどないのでウパさんたちの証言が主な手掛かりだけれど。
sr
(ええっと……確かウパさんたちが持ってきたアイテムで分かったことは……温度が極端に低くなるってことと、スピリットボックスだっけ?)
 温度については今も残る寒さがはっきりと証明している。意識すると背筋がぶるりと震え鳥肌が立った。そしてスピリットボックス……あれでウパさんが気が付いてくれなかったらどうなっていたんだろう。
sr
(ううーん……でも、これだけじゃ絞り込めない)
 モニターは間違えることにペナルティはないと言っていた。だけど、実際のところ能力の強化にくっついてくるハンデはやっぱり無視できないだろう。それに、続ければ続けるほど危険な目に合う確率だって上がっていくだろうし……当てずっぽうでは答えたくない。
 行き詰ってしまうと、思考がどうしてもそれてしまう。そうやって脇道へ進む先にあるのは、やっぱりあの人のことで。……まさか、持っている能力が嘘だったなんて。いや、実際に飛べるのは本当なんだろうけれど。どうして嘘なんて吐いたんだろうか。もしかして、能力なんてなくて、あれはメテヲさんじゃない何かで……いや、今はそんなこと考えている場合じゃない!
 気を取り直して手帳と向き合う。……手がかりを増やすために、アイテムをもっと持ってきて試すべきだろうか?でも、それにはまた幽霊を探さないといけないし……そこまで考えて書き込む証拠はアイテムを使うだけではなかったことを思い出した。それは、自分が最初に解き明かした方法だ。
sr
(ええっと、幽霊の変わった特徴……)
 自分たちに憑りついてきた?とりあえず書き込んでみるけれど、手帳の反応はない。後は……そうだ、そもそも幽霊は2体いるのだろうか?なんだか、その前提に少しだけ違和感を感じる。……なんというか、ここで突然幽霊が増えるなんてフェアじゃない、と言うか。
sr
(だとするとなんだろう……もしかして、ウパさんも言ってたけれども能力ってことなのかな)
 例えば、2体に分裂することができる、とか。そう思って書くと今度は手帳に反応があった。……でも、それでも。
sr
(また2択?)
 手帳に残っているのはツインズ、とミミックという文字だ。おそらく、このどちらかが答えなんじゃないだろうか?だけれど、まだ絞り切れない。手帳を見ながら、はあ、と思わずため息が出てしまう。
sr
(や、ダメだ!こんなんじゃ皆の役に立てない!!)
 そう自分に言い聞かせながら、気を取り直してもう一度考え直す。ツインズ、と言うのは名前からしていかにも分裂しそうだ。それはいいとして、ミミックはなんだろう?名前から連想するのが難しい。車内で少しだけ話題になったけれど、あまり名前で先入観を持ってはいけないかもしれない。
sr
(何か……なにか特徴でもなんでも……思い出せ……!!)
 必死になって今までの出来事を思い浮かべる。すると、無駄におしゃべりだったナニカの言葉から、1つ、思い出すものがあった。
sr
(真似をするのが、得意って言ってた……)
 ダメもとで手帳へ記入する。すると、手帳は更に反応し、文字が消えていく。そうしてただ1つの名前が残った。
sr
よしっ……!
rk
んん……
 喜びで出た自分の声と重なるように隣から唸り声。……ひなにいさんだ!大丈夫、とは聞いていたけれど、やっぱり目を覚ましてくれるなら全然安心感が違う。思わず手帳を放り投げ、起き上がろうとするひなにいさんの頭を支えながら声をかけはじめた。
(投稿時点でどうなってるかわかりませんが)お気に入り登録100↑ありがとうございます。
あとデイリーもいつの間にかランクインしてたみたいです。
あれもこれもいつも閲覧いいねお気に入り登録スポラコメント等してくださる皆さんのおかけです……本当にありがとうございます!
最近なかなか更新できてなくて申し訳ないですが気長にお待ちいただければと思います。

プリ小説オーディオドラマ