第7話

Story 7
429
2021/05/15 01:55 更新
日が暮れて、料理ができても、あなたはまだ寝室におって




…あんまり遅くまでここにおるのもなぁ。







照史
あなた、一回起きて、メシ食べてくれん?




俺はあなたに声をかけた。







あなた
あき兄、私あんまり食欲ないん…



そう言いながらやってきたあなた




あなた
えっ、あき兄。これ…
照史
おっ、覚えてたか。



あなたの目の前にあるのは俺特製のミルクスープ


その昔、体調を崩したあなたに初めて作った料理




照史
これなら、食えるやろ
あなた
うん、懐かしいね。



ゆっくりとあなたはスプーンを口に運ぶ
照史
うまいやろ?
あなた
…うん、おいしっ
照史
ようやく笑ってくれたな。



あの時と変わらないあなたの笑顔




俺が料理の道に進んだのは、この笑顔を見ていたかったから
あなた
あき兄…
あなた
気持ち悪いやろ
照史
何がや?




あなたがうつむきながら、ゆっくりと話し出す。
あなた
部屋の中
あなた
気持ち悪って、思ったやろ
照史
………




俺は何も言えず、ただあなたの言葉を聞いていた。
あなた
ねぇ、あき兄。
あなた
私、大穀のこと忘れなあかんのかな。
あなた
うちの親も、大穀のご両親も…
あなた
友達も、会社の人も
あなた
皆、大穀のこと忘れな言うん。
照史
………
あなた
忘れて、前向いて歩きっ、って。



あなたの目から大粒の涙がこぼれる。
あなた
忘れて、新しい…人生…行き…な、あかん、って…。



涙で途切れる言葉。



それでも必死に想いを伝える。
あなた
何で、わす…れ、な、…あ か んの。
あなた
何で‥‥、あ‥かん、って‥。



あなたの心の奥にある深い悲しみ。




それが痛いほど、伝わってきて





その悲しみと戦ってるあなたが愛おしくて






俺はその身体を抱きしめていた。

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