第7話

異変
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2026/08/10 02:00 更新
――その一言が。

こんなにも胸を締めつけるなんて、知らなかった。
朝

兵舎にはいつもの空気が戻っていた。
モブ兵士
兵長!!
隊員の声に振り返ると、リヴァイがいつも通りの表情で

歩いてくる。

その姿を見た瞬間。

エレンは胸をなで下ろした。
エレン
(……よかった、元気そうだ)
自然と肩の力が抜ける。

その安心感に、自分でも少し笑ってしまう。
午前の訓練
リヴァイ
アルミン
アルミン
?はい!
リヴァイはアルミンの前で足を止めた。
リヴァイ
さっきの判断、悪くなかった
アルミン
本当ですか!
リヴァイ
あぁ、状況をよく見ていた
アルミンは嬉しそうに笑う
アルミン
ありがとうございます!!
その笑顔を見て、リヴァイは小さく頷いた。

それだけの、いつものやり取り。

それなのに

少し離れた場所で見ていたエレンの胸が、ぎゅっと締めつけられた。
エレン
(……。)
苦しい。

理由が分からない。

アルミンが褒められるのは当然だ。

誰よりも努力していることを知っている。

だから嬉しいはずなのに。

どうして、


エレン
(兵長、その言葉……)
思わず拳を握る。
エレン
(違う)
エレン
(俺は、そんなこと思ってない)
そう言い聞かせても、胸の痛みは消えなかった。
エレン
昼休み
アルミン
エレン!
アルミンがパンを持って隣に座る。
アルミン
今日は兵長に褒めてもらえたんだ
嬉しそうな笑顔。

エレンも笑い返す。
エレン
よかったな、アルミン
アルミン
うん!
その笑顔を見ていると、少しだけ胸が痛んだ。
エレン
(最低だ、アルミンは何も悪くない。俺はちゃんと嬉しいと思ってる。)
なのに。

心の奥から、もう一つの声が聞こえる。


「その言葉は、俺が欲しかった」


エレンは息をのんだ。
エレン
(……え)
エレン
(今、俺は何を考えた?)
頭を振る。

そんなことを思うはずがない。

アルミンは大切な仲間だ。

嫉妬なんてするわけがない。
あなた
エレン?
エレン
……あ、ごめん
エレン
ぼーとしてた
笑ってごまかす。

けれど、自分の笑顔が少しだけぎこちないことに気づい
ていた。
夕方

訓練を終え、隊員たちが帰っていく。

エレンも荷物をまとめながら、一人考えていた。
エレン
(俺、おかしいな。兵長が元気になって嬉しかった。アルミンが褒められて嬉しかった)
どちらも本心だ。

それなのに。

胸の奥に残る黒い感情だけが、どうしても消えてくれない。
夜
廊下を歩いていると、向こうからアルミンがやって来た。
アルミン
エレン!
エレン
ん?
アルミン
今日はありがとう!!
エレン
え?
アルミン
『よかったな』って言ってくれて
アルミンは照れくさそうに笑う。
アルミン
なんだか嬉しかった!
そう言って手を振り、自室へ戻っていく。

エレンはその後ろ姿を見送った。

静かな廊下。

一人になった瞬間。

笑顔が、ゆっくりと消えた。
エレン
……違う
小さく呟く
エレン
違うんだ
壁に手をつく。

胸が苦しい。

苦しくて、息が詰まる。
エレン
俺は……。
目を閉じる。

浮かぶのは、さっきの光景。

『さっきの判断、悪くなかった。』

兵長の声。

嬉しそうに笑うアルミン。

その言葉が、何度も何度も頭の中で繰り返される。

そして。

心の奥から、静かな声が聞こえた。

「その言葉は、俺に向けてほしかった。」

エレンは目を見開く。
エレン
……ッ
否定したかった。

でも、できなかった。

その感情は。

もう、確かに自分の中に存在していた。
エレン
……兵長、

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