霧に包まれて数秒後、特に周りの異常なく、意識もはっきりとしている。
何だったのか謎に思っていると、スマイルさんがこちらに近づいているのが見えた。
おかしい。おかしいおかしい…!
スマイルさんの邪魔はしてしまった。でも、それをこんなに率直に伝える人なんかじゃ…
“何もできないんだから。”
近くにぶるーくさんも走ってくる。
何だか嫌な予感がして、信じたくなくても身構えてしまった。
だが、予感は的中していたのだ。
“厄病神のくせに”
頭が痛い。
ノイズが走っているように、ガビガビと五月蝿い。
気がつけば走り回って、正面の、女神のような像が飾られている部屋に来た。
女神に手を伸ばした。
助けて。逃げたい。消えてしまいたい。
でも、女神の像は見知ったような顔で、私にこう言った。
あぁ。いやだ。
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ
ブギーマンは、子供の恐ろしいものに変化すると言う怪物であり、悪霊だ。
俺らはとっくに成人して、ブギーマンに“怖いもの”を見させられることはなかった。
だが、俺の失敗だ。
壺を置いて来た。忘れてしまった。
だから、あなたは届けに来た。
でも、彼女はまだ子供だったから、
彼女は俺らのことが見える。判別も可能。
だが、俺が「大丈夫か」と聞いた瞬間、顔が変わった。
俺らの姿が違う人間に見えるわけではない。つまりは、
“たすけて…!!”
その言葉に、心臓がズキリと痛んだ。
思い出したのは、彼女の顔か、昔の過ちか。
あぁ。何してるんだ。
助けないといけないのに。
足が、動かない。
ぶるーくの叫び声に顔を上げた。
少し先に見えるのは、女神を見てから様子の変わった彼女。
いや、変わっただけじゃ言い切れない。
【ブォォォォォーーッッ】
彼女の周りに風が集まる。
閉めたはずの窓やドアから、隙間から、何もない空間から。
全ての空気が風となり、彼女を中心に竜巻を作り上げる。
まるで、彼女は守るように。
魔の暴発……魔力の持つ人間に限らず、魔獣や人魚などの魔族にもおこる現象。
感情の起伏、精神的ストレスの負荷、それらの影響で魔を支える器が不安定になり、
魔力などの力が暴発する。
本来、あってはならないこと。
それが、まだ魔力と器が慣れきっていない彼女なら尚更。
魔の力は強い。
それは逆に言って仕舞えば、コントロールを間違えれば危険だということだ。
「魔力は人間の干渉した借り物。それ故に扱いには十分気をつけろ。」
魔を目指す人間が絶対に忘れてはいけない教訓だ。
暴風の襲う室内で体制を整えながら、竜巻の中を見た。
たしかに、風に飲まれている黒い物体が……あれは、ブギーマン…??
絶体絶命。
悔しさに俯いた時。
竜巻から確かに、ドラゴンのような叫び声が耳に通った。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。