ラッダァがあなたを滝の中に吹っ飛ばした直後。
軽く着地を決めたラッダァは、
滝の方など微塵も気にする様子はない。
しかし______
ざばァという音と共に、
びしょ濡れのあなたが体を起こした。
そう、悪魔は面白いものが大好き。
故に、気に入ったものに対しては________
タ ガ が 外 れ る ! !
お互い相手の集中を切らそうと、短い会話を交えながら危険な仕掛けを次々と避けていく。
きッ…キツイ!!!
家系能力フル稼働で使ってるのにッ
もう少しで勝てるのに、勝てるのに…!
ゴール直前数メートル。ラッダァがあなたを抜く。
そして、勝負は一瞬の内に。
そのまま数秒差をつけてラッダァが勝ったのだった。
こ、ここまでやっといて…!!
ダサい、ダサすぎる私…!
煩いほどに鳴る心臓と呼吸を整えながら、
ラッダァに目を向ける。
ス…と私に向かって手を差し出してくれたラッダァ先生は、何処か真剣な顔を此方に向けた。
〝夢じゃない〟なんて、初めて言われた。
…これまで、色々言われた事はあったけど、
ここまで真っ直ぐ言われたことはない…気がする。
夢じゃないなんて言うなら、
音楽なんて辞めてこの世界で活躍だって___。
カミュ・あなた。彼女はとても飽き性な悪魔。
そんな彼女故に、相当な理由がなければ
一つの野望も趣味も…続くことはないだろう。
そう。相当な理由が無ければ。
〝 あなた、音楽は生き様同然よ? 〟
飽き性なのはいいけれど、
これだけは飽きるのも諦めるのも、絶対駄目。
…だって、
…音楽師団に向かうべく、足を進めようとしたのだが
背後より感じるただならぬ音と気配に思わず振り返る。
初めて会った時とは違い、先生の音が聞こえる。
…しかし、私をまだ追い回すつもりらしいが。
思わず自分に家系能力を使って、真後ろの教師から逃げる術を必死に考える。
…考えは、したのだが。
Prestissimo を本当は使いたい…!
しかしもうそんな体力は…っ
師団見学一日目、その日は鬼ごっこで幕を閉じた。
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その翌日。
聴こえる音とは違い、荘厳な構えの扉を見上げる。
そして私は、その重く大きな扉を開けるのだった_____。
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青春学園部門デイリー149位、大感謝です!🎺
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!